沖縄県 ひとり親世帯支援に3億4851万円 県議会が9次補正予算案を可決


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 県議会11月定例会は11日、本会議を開き、3億4851万円の第9次本年度一般会計補正予算案を可決した。新型コロナウイルス感染症の影響で、経済的な打撃を受けたひとり親世帯への臨時特別給付金の再支給費用に充てる。また県議会はこの日、総務企画、経済労働、文教厚生、土木環境の4常任委員会を開いた。

新型コロナウイルス感染症対策などについて審議する県議会文教厚生委員会=11日、県議会

【総務企画委】飲酒補導全国の2.6倍

 総務企画委では県警の松崎賀充生活安全部長が、昨年度、飲酒絡みで補導された県内の未成年者の数が全国平均の約2・6倍だったと明らかにした。

 県警生活安全企画課によると、県内で補導された未成年者のうち9・7%が飲酒絡みだった。県内では先月から今月にかけ中高生ら未成年者の飲酒事案が多発している。松崎部長は未成年飲酒について「行政と連携して対応していきたい」と語った。

 沖縄尚学高・付属中を運営する尚学学園の前副理事長の息子らが、前副理事長が亡くなったのはパワハラが原因として学園の理事長らを提訴したことを受け、同校のOB有志が提出した陳状で、学園の理事会などが機能していないとされていることについても議論があった。県の池田竹州総務部長は「明確に機能していないということは現時点で確認できていない。引き続き情報収集を図っている」と答えた。


【文教厚生委】インフルワクチン「量の確保難しい」

 文教厚生委員会では、新型コロナウイルス感染症対策や子ども医療費助成制度などに関する陳情や請願を審議した=写真。県内でインフルエンザワクチンの枯渇が懸念されていることについて大城玲子保健医療部長は「国に対し、もう少し割り当ててもらうよう要望しているが、全員に行き渡るような量の確保は難しい」との認識を示した。

 同ワクチンは、国がその前の年の摂取率や人口などから想定して夏場に製造する。今年は新型コロナとの同時流行を懸念し、20%増産体制をとったと国から聞いたという。県への供給量は28万本で、このうち25万本が供給済みで、残り3万本は今後、供給予定だと説明。これ以上の増産については「国としても非常に厳しい状況ではないか。すぐ増産できるものではなさそうだ」と述べた。

 県が22年度から子どもの医療費助成対象を中学卒業までに拡大することについて窓口で立て替えて支払う必要のない「現物給付」方式にしないのかを問われた諸見里真・保健医療総務課長は「市町村の意向が一番大切だ」と述べ、早急にアンケートか課長会議を開き市町村の意向を把握する考えを示した。


【土木環境委】識名トンネル和解案追及

 県議会土木環境委員会では、県発注の識名トンネル建設の虚偽契約問題を巡り、元県幹部2人に約1千万円ずつの支払いを求める和解案について議論が集中した。和解案が成立すれば、残りの約5千万円を県民の税金で賄うことになる。

 委員らは、どのように和解の額を決めたのかという点を追及した。

 前川智宏道路街路課長は「(元幹部2人に)固定資産評価証明書や市県民税所得証明書などの提出を求め、資力の程度を確認した」と答えた。

 一方、公務員保険に加入しているかどうかは「分からない」とした。個人の任意加入のため、資料提供は求めなかった。最終的に請求額は裁判所が資力などに基づき判断したが、どのような資料を基に判断したかについて県は把握していないという。

 和解が成立した場合、利息分の約7178万円のうち残り約5178万円を県が負担することになる。「県民の税金が出ていく」との委員の指摘に、前川課長は「司法の判断に従ったことになるので損害とは考えていない」との認識を示した。

 識名トンネル工事で元県幹部らが手続きや工期を偽り、県は利息を含む約5億8千万円を返還した。利息分の約7178万円を元県幹部らに請求するよう求めて県民が県を訴え、最高裁で原告の主張を認めた判決が確定している。


【経済労働委】彩発見促進事業 予算執行率8%

 経済労働委員会は、貸し切りバスにおける感染症対策の周知に関する陳情などを審議した。

 貸し切りバス事業者の支援策として県が11月13日から実施している「おきなわ彩発見バスツアー促進事業」について山田みさよMICE推進課長は、11月分の実績(速報値)を明らかにした。

 ツアーの催行件数が230件、販売代金の総額は5363万5千円。利用されたバス台数は312台で利用人数は4119人だった。予算額は2億2900万円で、執行率は8%となっている。

 山田課長は「今後、ラジオやテレビでプロモーション展開して販売促進につなげたい」と話した。