「高齢者に会いに行く」 糸満・藤枝さん 移動弁当店を開店 地域で孤独死 「つながり広げたい」


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名城公民館前で「おにぎり屋さんかく」を開店させた藤枝真美さん(左端)=11月28日、糸満市の名城公民館

 【糸満】高齢者の孤独死をきっかけに、糸満市で移動型のお弁当屋さんを始めた女性がいる。市内で地域おこし協力隊として活動していた東京都出身の藤枝真美さん(30)は活動先で会った高齢者の男性の一言に衝撃を受けた。「1週間前、あそこで孤独死があったんだよ」。糸満は東京と比べて人とのつながりが強いと感じていただけに「とても信じ難かった」。同様の話を他地域でも耳にした。

 藤枝さんは当時、市内を取材して情報発信したり、公民館などを地域の憩いの場にしようと、フリーマーケットやマルシェを開催したりしていた。地域の人たちが集まって顔を合わせている様子を見て「つながりを強くする手助けができている」と感じていた。

 地域おこし協力隊の活動が終わった後、藤枝さんは公民館を活用した事業を考えていたが、以前「孤独死があった」と聞いた地域は、フリマで盛況を見せた地域だったことを思い出した。「私がいま考えている計画も、動ける人しか参加できない」。買い物に出掛けられない高齢者もいた。「それなら、私が会いに行けばいいんだ」。計画を見直し、「移動式のコミュニティー型おにぎり屋さん」を目指し「おにぎり屋さんかく」を始めた。

 11月28日、名城公民館で初めて弁当の配布をした。活動の趣旨を周知するため、特別に無料で100個の手作り弁当を配った。今後は年齢に応じた価格で販売する。「一人でも多くの人に会いに行きたい。地域のつながりを広げて深めることが、一人一人の幸せにつながるはずだ」と、熱い思いを語った。問い合わせは藤枝さん(電話)080(5191)0137。