「生活できる手当を」沖縄県内の業界、年末需要への打撃を懸念 3市の時短要請


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 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、那覇、沖縄、浦添の3市の飲食店や接待を伴う遊興施設などに対し、沖縄県は営業時間の短縮を要請した。飲食や旅行需要が多い年末を直撃することを懸念する意見が業界から上がる一方で、感染が拡大する状況から要請に一定の理解を示す声もある。

 玉城デニー知事の会見に県医師会と共に出席した、県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「休業要請に比べれば若干(影響が)緩和されている」と、休業や外出自粛という「最悪」は避けられたという認識を示した。

 一方で、午後10時までの営業終了は2次会需要の多いバーやスナックなどにとって大きなダメージが見込まれ、24万円という協力金について「社交業としては弱い。従業員にはシングルマザーも多く、生活ができるような手当をお願いしたい」と求めた。

 別の飲食業関係者は、時短営業はやむを得ないとした上で「年末年始で年間の3割程度を稼ぐ店もある。協力しない店も当然出てくると思う」と懸念した。沖縄商工会議所の宮里敏行会頭は「感染防止の一環で時短営業要請はやむを得ないことだ」と県の判断に理解を示した。協力金については「可能な限り手厚くしてほしい」と求めた。

 飲食店や遊興施設の営業時間短縮は、関連の業種にも影響が及ぶ。

 県内の酒販会社は、県が独自に緊急事態宣言を発出した8月は、前年の4~5割程まで売り上げが落ちた。担当者は「直接卸している飲食店が時短営業の対象になれば、酒の卸売りにも影響があるだろう」と動向を注視する姿勢を見せた。

 県ハイヤー・タクシー協会の東江一成会長は「例年、12月はタクシー業界の一番の繁忙期だ。ものすごい影響がある」と厳しさを訴える。「時短営業で売り上げは前年同月の5割を切るだろう。時短営業要請はやむを得ないが、タクシー協会にも支援してもらいたい」と強く要望した。