喜友名V9、鬼気迫る最高点「突き、蹴り、レベルアップ」コロナ禍で理想追求 空手全日本


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男子形決勝 圧巻のアーナンで9連覇を決めた喜友名諒=13日、東京都の日本武道館(古川峻撮影)

 決勝のアーナン。鋭い呼気とともに斜(はす)に構え、掌底突きを繰り出した。喜友名諒は一撃必殺の沖縄空手を体現する鬼気迫る演武を見せた。これまでの最高得点だった1月のプレミアリーグ・パリ大会でのアーナン大の28.68を上回る高得点で前人未到の9連覇を決めた。(古川峻)

 1月以来の久々の大会に「全日本選手権に初めて臨んだ時の初心を思い出した。最後までいい緊張感だった」と、予選から1位を譲らず、ランキングラウンドは昨年に続き劉衛流のパイクーで1点差以上をつけて他を圧倒した。

 直前に8連覇が懸かる女子形の清水希容が敗れる波乱を受け「気合を入れて挑もう」と気を引き締めた。「突き力、蹴り力もレベルアップし、自信になっている」というコロナ禍で磨いた土台の基礎力を本番で発揮し、連覇を伸ばした。

 巻わら突きのために両拳の皮はむけた状態で大会に臨んでいた。「いつもこんな感じ。楽しくてやめられなかった」と平然と言う。稽古中から仮想の敵を想定し、空手の本質にこだわる。呼吸と動作の一致など課題も見えた。「もっと完成度の高い演武ができる。佐久本先生と修正しながら仲間と一緒に稽古して、来年の五輪は優勝します」。より深化させた理想の形を追い求める。


 空手の天皇杯・皇后杯第48回全日本選手権は13日、東京都の日本武道館で開催され、男子形の喜友名諒(劉衛流龍鳳会)が史上初の9連覇を達成した。1992年から99年まで続いた阿部良樹の8連覇を塗り替えた。本一将(エージーピー)との決勝では劉衛流のアーナンを演武し、28.74の高得点を記録。圧巻の強さで優勝を決めた。本に1.14点差をつけた。喜友名らと稽古をともにする女子形で昨年準優勝した岩本衣美里(クリーンコーポレーション)は、3位決定戦でパープーレンを演武し、26.02で3位だった。男子形の金城新(劉衛流龍鳳会)は予選ラウンド1回目のセーパイが23.18、2回目のクルルンファが22.85の5位でランキングラウンド進出を逃した。男子組手の宮里康太(自衛隊)は初戦の2回戦、女子組手の金城里佳(日体大3年)は1回戦でそれぞれ敗退した。

 【男子】

▽組手個人2回戦
小崎(大阪府) 2―0 宮里康太(沖縄県)

▽形個人予選ラウンド1回目プール1 (1)喜友名諒(劉衛流龍鳳会)26.10=セーパイ(5)金城新(同)23.18=セーパイ

▽同予選ラウンド2回目プール1 (1)喜友名26.22=クルルンファ(5)金城22.85=クルルンファ

▽同ランキングラウンドプール1 (1)喜友名27.86=パイクー

▽同決勝

喜友名 28.74―27.60 本(AGP)

(喜友名は9年連続9度目の優勝)