女子形の岩本衣美里はヤマ場と踏んだランキングラウンドで「自分の代名詞」であるアーナンで挑んだ。本調子ではなかった予選の硬さをぬぐい去り、課題の足刀蹴りも難なく決めた。しかし、26.22で惜しくも決勝進出を逃した。(古川峻)
3位決定戦は波に乗ったまま糸東流のパープーレンで。緩急が特徴的な形だが「人によって持ち味が違う」と磨いてきた劉衛流のパワーを生かした。眼光鋭く荒々しさを十二分に発揮し、相手を圧倒した。
北海道科学大2年時に劉衛流の佐久本会長を訪ね、沖縄と行き来して稽古した。4年前に沖縄に移り住んだが、コロナ感染者が増え始めた7月に北海道に戻り、子どもたちに稽古をつける傍ら、鍛錬を続けた。
「トップ選手との稽古は刺激になった」と言い、全日本実業団で3連覇する実力者へと成長した。円熟期を迎え「応援してくれる人のために頑張りたい」とさらなる活躍を誓う。
空手の天皇杯・皇后杯第48回全日本選手権は13日、東京都の日本武道館で開催され、男子形の喜友名諒(劉衛流龍鳳会)が史上初の9連覇を達成した。1992年から99年まで続いた阿部良樹の8連覇を塗り替えた。本一将(エージーピー)との決勝では劉衛流のアーナンを演武し、28.74の高得点を記録。圧巻の強さで優勝を決めた。本に1・14点差をつけた。喜友名らと稽古をともにする女子形で昨年準優勝した岩本衣美里(クリーンコーポレーション)は、3位決定戦でパープーレンを演武し、26.02で3位だった。男子形の金城新(劉衛流龍鳳会)は予選ラウンド1回目のセーパイが23.18、2回目のクルルンファが22.85の5位でランキングラウンド進出を逃した。男子組手の宮里康太(自衛隊)は初戦の2回戦、女子組手の金城里佳(日体大3年)は1回戦でそれぞれ敗退した。
【女子】
▽組手個人1回戦
安藤(愛知県) 3―1 金城里佳(沖縄県)
▽形個人予選ラウンド1回目プール2 (2)岩本衣美里(クリーンコーポレーション)25.60=セーパイ
▽同予選ラウンド2回目プール2 (2)岩本25.54=クルルンファ
▽同ランキングラウンドプール2 (2)岩本26.22=アーナン
▽同3位決定戦第2試合
岩本 26.02―25.20 石橋(帝京大)