浦添のまちづくり、市民に関心もってもらうには? 西海岸やキャンプ・キンザー跡地開発でシンポ


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浦添市内のキャンプ・キンザー跡地や西海岸の街づくりについて意見を述べるパネリストら=6日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室

 【浦添】返還が予定されている浦添市屋富祖の牧港補給地区(キャンプ・キンザー)と、市西海岸のまちづくりについて考えるシンポジウムが6日、アイム・ユニバースてだこホール市民交流室で開かれた。設計士や有識者らが登壇し、市の都市化の過程や課題を説明、街の在り方について提案した。約70人が参加した。

 主催した浦添西海岸・キンザー跡地を学ぶ会の会員川端ゆかりさん、浦添市仲間に事務所がある1級建築士の福村俊治さん、基地の跡地利用などを研究する名桜大学准教授の真喜屋美樹さんがパネルディスカッションで意見を述べた。

 福村さんは「市は都市計画がないまま街をつくってきた」と指摘。そのしわ寄せで市街地の空洞化などの問題が起きていると市の課題を挙げた。「海や緑地はできるだけ残した方がいい」として、西海岸のロングビーチ案を提案。観光客や移住者を見込み、ホテルやオフィス街をつくり、金融や医療を中心にしたエリアを提案した。

 真喜屋さんは、地権者の意見は最も重要と指摘。ただ「(西海岸は)多くの県民や観光客が訪れる空間でもある。地権者にとって減歩率(土地を提供する割合)をどうするかが大事だ」とし、地権者と市、市民らが協力してまちづくりを進めることを強調した。

 また、ドイツのフライブルク市の事例も説明。同市は自然エネルギーを導入し車のない街づくりをした結果、移住希望者が殺到したという。「こういうのがあったらいいよね、と話す場があることが重要だ」と市民の参画を促した。

 川端さんも浦添の新たな街を「次の世代にギフトしたい。一番大切なのは市民県民に関心をもってもらうこと。一人一人が携わってほしい」と望んだ。

 意見を聞いた市民からは「暮らしも自然も生かしていけるように開発していけたら」「自然がつぶされないようにするために、視野を広げたい」との声が上がった。一方で、「経済と環境のバランスが難しい。緑地だけにすると、土地の価値は上がらないと思う。経済にもフォーカスしないといけない。今後も継続して考える機会を持っていけたら」との意見も出た。