【深掘り】辺野古設計変更の名護市長意見に広がる波紋 与党市議が取り下げ提案した理由とは?


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名護市役所(資料写真)

 【名護】沖縄防衛局による新基地建設の設計変更申請で、渡具知武豊名護市長が市議会に提案した市長意見は、21日に審議が持ち越された。追加議案は1日で審議完了するのが慣例。野党市議らが「与党が16日の採決を強行するのでは」と懸念する中、与党側から議案の取り下げを求める意見も飛び出し、議会運営委員会で「資料を精査する時間が必要だ」との判断で決着した。

 12月定例会に追加議案として提案することを市が決定し市議らに連絡したのは11日夕。同日中に市議らに議案書と、市長意見を作成した埋め立て地用途変更に関する説明資料をデータで提供した。同日午後の一般質問で、議案提出のタイミングを問われた渡具知市長が「内部で調整中」と答弁した直後だったこともあり、野党の反発につながった。

 議案の取り下げを求める発言をした自民会派「礎之会」の宮城安秀氏は議会後の取材に「辺野古移設に反対する訳ではない。辺野古区はあくまで条件付き容認だ」と強調した上で「野党の主張も理解できる。1日で採決するのではなく、しっかり審議する時間を設けて理解してもらった上で採決した方がいい、との趣旨だった」と説明した。

 宮城氏の発言は与党側にとって寝耳に水。野党市議や傍聴席の市民からも驚きの混じったどよめきが起きた。宮城氏と同じ会派の市議は「びっくり仰天だ。何を言い出すかと思った」と語る。会派で昼休みに早速、宮城氏に説明を求めた。

 同会派の別の市議は「追加議案を提案した日に採決するのが通常の流れだ。会派としては、野党が求める市長意見取り下げに同意する考えはない」と話した。

 審議の持ち越しを協議した議会運営委員会でも、与党から特に異論は出なかったという。与党の判断について、野党市議の一人は「(採決を)強行すると、市民の批判を招くとの懸念が働いたのでは」と推測する。「野党としては21日も取り下げを求める」と力を込めた。

(岩切美穂)