ホールの一時休館、舞台の中止や延期…逆境から灯つなぐ1年に<県内年末回顧2020・伝統芸能、洋舞、エンタメ>


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組踊上演300周年記念・首里城復興祈念公演で演じられた組踊「二童敵討」=2月、那覇市の首里城公園

 2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、劇場やホールの一時休館などもあり、多くの舞台が中止、延期となった。感染拡大防止の観点から、通常の半数しか観客を入れられない中、主催者は公演数を増やしたり、ネット配信をしたりし、広く文化芸能を伝えようと努めた。芸能関係者が、逆境において、芸能のともしびをつなごうと奮起した年だった。

 【組踊】
 1月に、対馬丸記念館が琉球新報ホールで対馬丸遭難から75年に合わせて大城立裕原作の新作組踊「対馬丸」上演。昨年11月に予定されていた公演に代わり、2月に組踊上演300周年記念・首里城復興祈念公演「琉球舞踊と組踊」を、首里城公園で開催。「二童敵討」と「執心鐘入」を上演。組踊上演300周年記念事業実行委員会は、3月末開催の最終会合で、周年の記念碑建立を新たな組織の設置を検討し協議することを確認した。5月、国立劇場おきなわの第6期組踊研修生10人の研修を開始。10月、同劇場が公演記録鑑賞と講座「首里城と芸能」で、約150年前に製作されたからくり花火「双龍」を再現し、実演。

 【琉球舞踊】
 2月、大湾三瑠が芸歴45周年を記念した第4回独演会を開催。同月、「六花」公演。3月、宮里敏子が芸道70周年記念公演。11月に県芸能関連協議会が第9回「沖藝連の日」開催。同月、勤王流八重山舞踊保存会無錆之会が公演。12月に志田房子が芸歴80周年公演。ほか独演会は、仲村圭央ら。
 

   【沖縄芝居】
 1月、劇団綾船が「冬ぬ夜雨」、劇団うびらじが「夜半の月」を上演。2月、「おきなわ文化の祭典 琉球新報社主催大琉球浪漫シリーズ2019」第3弾「沖縄芝居公演」で沖縄芝居研究会が公演。3月、八木政男が57年間パーソナリティーを務めた「民謡で今日拝なびら」(RBCiラジオ)を勇退。7月、沖縄芝居研究会が文月公演を開催し、昼夜2公演ずつ「割符」など異なる芝居と舞踊を上演。11月に大伸座の「丘の一本松」。

 【古典音楽・箏曲】
 1月、中村一雄人間国宝認定祝賀公演「至芸」があった。2月、愛知県知立市で、一般財団法人ちりゅう芸術創造協会主催の「長線がつなぐ知立と沖縄」。3月、宮城武碩が芸道50周年で初の独演会を開いた。同月、大湾清之が研究発表会を開催した。10月、澤井毎里子と比嘉いづみが演奏会。11月、国立劇場おきなわの企画公演「アジア・太平洋地域の芸能 箏」があった。

 【民謡】
 11月、新良幸人の「一合瓶ライブ」が30回目を迎えた。

 【日本舞踊】
 2月に、一条流が「創流50周年記念舞踊会」開催。

 【演劇】
 1月、劇団石が「ひとり芝居 キャラメル」を沖縄初上演した。3月、演劇グループ、演撃戦隊ジャスプレッソが公演。7月、わが街の小劇場で戯曲「更地」があった。同月に最強の一人芝居フェスティバル「インディペンデント・ナハ20」が開催。10月、東京の演劇ユニット「デッドストックユニオン」が「民宿チャーチの熱い夜18 第1回沖縄ヒヤミカチ公演」をした。11月、劇団シアターテンカンパニーが企画公演。12月、新制作座が沖縄初公演で「泥かぶら」を上演した。

 【バレエ】
 2月にTAMATE箱が結成10周年記念公演を開催。4月、那覇シティバレエスクールが第14回発表会。7月、環バレエアートスタジオが発表会で創作バレエ「あきちゃんの本」を上演した。同月、宜野座村文化センターがらまんホールで「トコイリヤ RYOKI to AI vol.6」(緑間玲貴演出)。8月、NSバレエアカデミーが第47回発表会を開催。9月、緑間バレエスタジオが第14回発表会。10月、Studio Dream Artが初の屋外発表会。11月、環バレエアートスタジオが公演で、松井英理とコラボレーションした。

 【お笑い】
 1月の「新春!Oh笑いO―1グランプリ2020」はありんくりんが連覇。同月、「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔が石垣島で独演会。9月の「エッカ石油 お笑いバイアスロン2020」はプロパン7が優勝した。10月に、演芸集団FECは、「旗揚げ27周年記念公演」で舞台と27時間生配信をした。同月、ことし中止した「お笑い米軍基地」公演のDVD付ムック本を発売した。

 【総合】
 2月、第42回琉球新報活動賞を嘉数道彦が受賞。10月、琉球伝統芸能デザイン研究室が古典芸能の分野で初めて2020年度グッドデザイン賞を受賞した。同月、志田真木が2020~21年度の「文化交流使」に任命。11月、「琉球古典芸能コンクール・琉球古典芸能祭」がメセナアワード2020優秀賞に選ばれた。12月に琉球舞踊家玉城秀子、組踊歌三線演奏家知花清秀に20年度の文化庁長官表彰。