宮古島市長選、投開票まで1カ月 立候補予定者に聞く コロナ対策、再重要施策は?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【宮古島】任期満了に伴う宮古島市長選挙(2021年1月10日告示、同17日投開票)は投開票まで1カ月を切った。無所属現職の下地敏彦氏(75)=自民、公明推薦=と前県議で無所属新人の座喜味一幸氏(71)が立候補を表明しており、一騎打ちとなる見通し。両氏に新型コロナウイルスへの対策や最重要施策などを聞いた。(聞き手・佐野真慈)


下地敏彦氏 現職 福祉政策の充実が目玉

下地敏彦氏

―最大の争点は。

 「市政継続か変革かだ。私としてはこれまでの12年間の実績を土台にして、さらに発展するために継続したいと思っている」

―重点を置く施策は。

 「社会福祉だ。これまでは市の基盤整備に取り組んできた。この土台の上に福祉、医療、教育のソフト施策をやる。宮古島に住んで良かった、生活が楽になったと思えるように全力を尽くす」

―新型コロナ対策については。

 「国が支援策を決定して予算が分配されるまで時間がかかる。市民は今、困っている。だから財政調整基金から9億円を予備費に回して市町村判断で使えるようにした。素早く対応できたと思っている。今後、感染状況が悪化したら医師会と市、県立宮古病院で市民を対象にドライブスルーでPCR検査を実施する」

―経済政策については。

 「喫緊の課題はコロナ対策だ。観光業への支援が重要。現状を把握する観光協会に補助金を出して迅速かつ的確に支援していく。1次産業について、農業生産は着実に上がっている。これを継続する。畜産業は高齢化が進み、多頭生産がなかなかできない。総合的に考えてやるために肉用牛振興協議会のようなものをつくる。市と農家が共同でファンドを立ち上げ、何が必要なのか農家が自分たちで考える新しい形をつくりたい」

―社会福祉については。

 「新庁舎の近くに社会福祉センターを設置する。福祉の充実を図ることが目玉と考えている。今、子育てや貧困、高齢化、障がい者福祉など全部ばらばらで支援している。1カ所で課題を議論し市民がサポートを受けられるようにしたい」

―陸自問題については。

 「自衛隊はすでに配備されている。宮古島近くの海域には中国船が毎日、通る。何もやらずに万が一、問題が起こったら誰が対処するのかとなる。備えておくというのは島を預かる市長の役割だ」


 下地敏彦氏(しもじ・としひこ)1945年12月生まれ。宮古島市平良下里出身。琉球大卒。県宮古支庁長、旧城辺町助役、県漁業協同組合連合会代表理事会長などを歴任し、2009年1月から現職。


座喜味一幸氏 前県議 市民所得の向上目指す

座喜味一幸氏

―最大の争点は。

 「市政刷新か継続かに尽きる。現市政への閉塞感や不満が市民にあるからこそ、われわれは政党や思想信条を超えてワンチームになった。このままでいいのか信を問いたい」

―重点を置く施策は。

 「市民所得の向上だ。1割アップを目玉に据える。現市政12年で市民の実質所得は県内41市町村中32位と低迷したままだ。旧庁舎や閉校した学校など遊休公共施設の利活用も進める。IT企業を誘致し、デジタル推進拠点にしたり観光客に対応する情報発信拠点にしたり、物産振興にも使う」

―新型コロナ対策については。

 「県外からの観光客について入島3日前までにPCR検査の陰性証明を取ってもらう。国や県、観光業などと連携し仕組みを確立する」

―経済政策については。

 「物流コスト低減を進める。日用品の価格を那覇並みにすることを目標に据える。第1次産業は物産振興会を立ち上げて6次産業化促進と世界市場を視野に入れた生産性を引き出す。進化を続けるデジタル社会に対応するため全島WI―FI導入など基盤整備を進める。持続的に観光業を発展させるために入島協力金制度を導入し、海岸保全や道路標示整備に取り組む」

―社会福祉については。

 「誰一人取り残さない社会をつくる。子育てしやすい環境づくりに取り組む。子どもは将来への財産だ。きめ細やかな対応をしていきたい。いじめや虐待対応について、今は仕組みが複雑で縦割り行政になっている。ワンストップで解決できる仕組みを確立する」

―陸自問題については。

 「自衛隊は防災や救急、医療、国防の面でも必要だが、建設が進められている弾薬庫については地元の了解を得ることが大前提だ。国に県、市、賛成反対の市民を含めた連絡協議会を立ち上げるよう国に求め、正確な情報提供と公開を基に議論する場所をつくる」


 座喜味一幸氏(ざきみ・かずゆき)1949年12月生まれ、宮古島市平良出身。琉球大卒。72年、沖縄総合事務局に入局。95年に宮古土地改良区事務局長就任。2008年県議選で初当選、3期務めた。