沖縄、緊張高まる恐れ 新型ミサイル先島配備の可能性


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防衛省(資料写真)

 【東京】政府が18日に閣議決定した、相手の射程圏外から攻撃できる長射程ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」の開発を盛り込んだ文書は、その目的として「島しょ部を含む我が国への侵攻を試みる艦艇」に対処する必要があることを明示した。海洋進出を強める中国が念頭にあり、新型ミサイルは沖縄を含む南西諸島に配備される可能性が高い。沖縄周辺海域での緊張が高まる懸念がある。

 新型ミサイルについて防衛省は、12式地対艦ミサイルの長射程化に加え、島しょ地域に上陸した部隊に対しても有効な攻撃能力を付与する方針だ。実戦を見据えた能力強化となる。

 防衛省は新型ミサイルが必要な理由として、中国をはじめとした周辺国のミサイル能力の向上を挙げる。防衛省高官は、自衛隊のミサイル射程が相手艦艇より短ければ侵攻を受けた際に「自衛隊が撃たれ放題になる」と指摘。隊員の安全を確保するためにも、相手の射程圏外から攻撃できる能力が必要だと訴える。

 一方、防衛省は長射程化した技術を、艦艇や航空機から発射するミサイルにも搭載できるよう「ファミリー化」を進める方針で、野党からは「事実上、敵基地攻撃ができるようになる」と懸念の声が上がっている。

 加藤勝信官房長官は18日の会見で「敵基地攻撃を目的としたものではない」と述べ、理解を求めた。ただ、政府は敵基地攻撃については引き続き検討を行う方針だ。