【記者解説】緑ヶ丘保育園の事故が全容解明できない背景に特例法の壁


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宜野湾市野嵩の緑ヶ丘保育園(資料写真)

 宜野湾市野嵩の緑ヶ丘保育園への部品落下事故から3年が過ぎる中、県警は落下物とは特定できないまま一連の調査を事実上終えた。保護者らが望む全容解明に至らなかった背景には、落下物と特定できる明確な客観証拠がないことがある。また、「日米地位協定の実施に伴う航空特例法」で、米軍機からの物件落下を禁止する条文が適用除外とされていることもあり、当初から立件は困難視されていた。(当間詩朗)

 米海兵隊はこれまで、部品の紛失がないことや当時使用していない旧式の部品であることなどを理由に米軍機からの部品落下を否定してきた。県警は調査に関する米軍とのやりとりについて、詳細を明らかにしていないが、米軍からの積極的な協力は得られなかったとみられる。落下の瞬間を明確に捉えた映像などもなかった。

 県警は今回の実証実験について「捜査ではなく調査」と強調してきた。航空特例法で米軍航空機由来の部品落下が刑事事件として取り扱えない中、保護者らの全容解明を求める声に応じる形で実験を実施した格好だ。民間機による部品落下であれば、徹底した捜査が行われていたはずだが、米側の裁量任せでは事案の真相解明に至れないことはこれまでも繰り返されてきた。保護者らが求める徹底した原因究明のためには日米間の特例法や地位協定を改める必要がある。