FC琉球2020総括(上) 失点が後半戦で大幅改善 組織的プレッシャーが機能


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琉球―新潟 守備の要として活躍した琉球の李栄直(中央)=9月30日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 サッカー明治安田J2の2020シーズンが閉幕した。FC琉球は14勝20敗8分けの勝ち点50で16位だった。J2初年度の昨季より勝ち点を1点積み上げたが、順位を二つ落とした。得点数は58点で1点増した。ほぼ横ばいの数字だが、今季の特徴は失点数だ。61失点で昨季のリーグ最下位の80点を大きく改善した。 (古川峻)

 ■守備の強度

 リーグ開幕から第9節の岡山戦まで勝ち星がなく、最下位22位にも甘んじる低調な滑り出しで、初勝利を挙げた時点で21位だった。第3節・北九州戦や第6節・山口戦で4失点と昨季の課題である失点癖は抜けていなかった。

 変化のきっかけの一つは8月29日の第15節・山形戦だろう。与える必要のない失点で1―4で自滅。守備が崩壊し、樋口靖洋監督は「自分の問題として受け止めるように求める」と無責任なプレーを戒めていた。

 その試合あたりから、素早く自陣に引いて、味方同士で連係しながら複数人で囲むという「組織的な守備」が目立つようになった。リーグ半ばには運動量の豊富な小泉佳穂や池田廉が、中盤でプレッシャーを仕掛けてボール奪取につなげ、「ボールの取りどころ」も明確になった。集中した守備でリーグ後半戦は24失点に抑えた。

 樋口監督は「シーズンの最初は相手に寄せ切れず、その間にシュートを打たせていた。相手に近づいて守れるようになった」と振り返る。昨季の課題だったセットプレーからの失点も今季は4失点のみに抑え、改善されていた。

 第38節の金沢戦のように連続失点というチームの課題はまだ残る。しかし、安定した守備で後方から支えることは、その後のリズム良い攻撃につながった。リーグ終盤には琉球の掲げる“攻撃的サッカー”を体現し、上位チームに食らいついた。