CO2削減の取り組み強化 沖縄県と沖縄電力 脱炭素化社会の実現へ協定


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2050年の脱炭素化社会実現に向けて連携協定を結ぶ玉城デニー知事(右)と沖縄電力の本永浩之社長(左)=22日、県庁

 県と沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)は22日、2050年の脱炭素化社会実現に向けた連携協定を締結した。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念の下、地球温暖化防止に向けて、連携して二酸化炭素(CO2)排出の削減に取り組むことを確認した。

 沖電は8日に、国内大手電力では初めて、2050年にCO2の排出量を実質ゼロにする目標を表明した。今回の協定は、脱炭素化の取り組みを加速するため県から沖電に持ち掛けた。

 県は18日に意見公募を始めた「県エネルギービジョン2020(仮称)」素案の中で、県内の再生可能エネルギー(再エネ)の電源比率を19年度の約6%から30年度に16%に引き上げ、エネルギー自給率を17年度の約1・9%から30年度に3・7%に高める目標などを掲げている。

 協定では(1)電気の安定的で適正な供給の確保(2)再エネの導入拡大(3)CO2の排出なし・排出量の少ない発電への転換促進(4)石炭火力発電所などから排出されるCO2の回収や利活用の促進(5)運輸などの電化推進―の5項目について、両者が連携することを定めた。

 県庁で開かれた協定締結式で、玉城デニー知事は「SDGsの推進、脱炭素化社会の実現に向けた大きな一歩と期待している」と話した。沖電が県から受託する再エネ導入の実証事業で、風力発電由来の電力だけで波照間島全体の電力需要を約10日間まかなったことを挙げ、「他の離島などにも成果を展開していくことも重要だ」と話した。

 沖電の本永社長は、県外に比べて沖縄は水力発電や原子力発電がないとして「選択肢は本土より限られている。積極果敢に取り組むつもりだが、実現には各方面からの支援が必要だ。県と協定を締結でき、50年に向けて大きな一歩が踏み出せた」と話した。

 具体的な協力内容は今後協議して決める。県は、再エネ導入に資する設備投資をした際の税制優遇措置などを国に提案する準備をしているという。嘉数登商工労働部長は「税制支援や補助制度、規制緩和などを中心にできることを検討していきたい」と話した。