琉球キャピタル、ファンド「第1号」はOTSに コロナ打撃に1億円支援


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 琉球銀行など県内17社が出資する投資会社、琉球キャピタル(那覇市、池端透社長)は22日、運営する琉球ファンド1号投資事業有限責任組合から沖縄ツーリスト(OTS、東良和会長)に対し、約1億円を出資したと発表した。同ファンドの第1号案件となる。

運営するファンドの第1号案件となる沖縄ツーリストへの約1億円の出資について説明する琉球キャピタルの池端透社長=22日、那覇市久茂地

 琉球キャピタルは、新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける県内企業の事業再生を支援する目的で設立された。企業価値向上が見込まれる県内企業や事業承継対象企業の株式・債権や、価値向上が見込まれる県内不動産を主な投資対象としている。

 OTSへの出資は、議決権のない優先配当株式の形で21日に実施された。OTSによると、運転資金やIT投資の資金として活用するという。未上場の同社の株価算定に当たっては、同ファンドが複数の方法で算出してOTS側と調整した。同ファンドは5年程度での償還を計画している。

 出資後の持ち株比率などは非公開だが、OTSの経営体制に変更はない。同ファンドは経営に関与せず、出資企業を紹介するなどの形で事業のサポートをしていくという。

 琉球キャピタルの池端社長は「資本強化による事業の安定化、成長支援を目的に出資した。OTSは沖縄になくてはならない企業だ」と話した。

 OTSの東会長は「コロナ禍で影響を受けている観光事業者としては大変ありがたい。県内企業で構成される琉球キャピタルの第1号となるのは光栄だ。他の観光事業者も検討してみてはどうかと思う。厳しい状況は続きそうだが、一日も早く観光で県経済に貢献できる日が来ることを待ち望んでいる。その時は思い切り恩返しをしたい」とコメントを出した。

 同ファンドには、12月末で県内31社が約64億円を出資する。現在、事業承継など約10件の出資について具体的な調整が進んでいるという。池端社長は「予想以上に打診が多く、当初の計画を前倒しして3年程度で64億全てを投資したいと考えている」と話した。