FC琉球2020総括(下) 攻撃的サッカー結実 チャレンジすることを意識


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 サッカーFC琉球のJ2参入2年目は失点数の改善に加え、リーグ6位の58得点と高い攻撃力を示した。後半の時間帯に39得点し、うち18点が残り15分以降のゴールだった。ボールを支配しながらリズム良くパスを回し、相手の疲労がたまった後半に畳みかける“攻撃的サッカー”の特徴が表れていた。(古川峻)

琉球―松本 テンポ良いパス回しで攻撃にリズムを生み出したFC琉球の上里一将=10月17日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

■連動性の高まり

 

 リーグ序盤に多かった不用意な失点は、8人が自陣に引き、中盤でFW陣がプレッシャーを仕掛けるように守備を変化させたことで改善した。一方、“攻撃的サッカー”を追求する中、選手にはもどかしさも。「リスクを冒して点を取りにいくか、引いて守るか」という声が聞かれたこともあった。

 今季折り返しの千葉戦は堅い守りを崩せずに敗れた。以降は、相手が堅守からカウンターを狙う姿勢が明確になり、5試合で1得点しか取れなかった。高いボール支配率を残しつつ、勝利に結びついていないという悔しいデータもあった。

 しかし、リーグ終盤になると、集中した守備やセカンドボールの奪取から、反転攻勢に出る点が目立った。ボランチ上里一将がワンタッチでリズムを生み、トップ下の小泉佳穂が攻撃のスイッチを入れるなど、それぞれがほどよい距離を保ちつつ、チームプレーに徹した。

 第37節の東京V戦は4―0で快勝。選手らは「チーム全体で声を掛け合って連動した」「共通認識ができている」と語った。第40節でJ2ではチーム最多の6得点で勝利し、第41節で順位も14位まで浮上した。

 結果につながらなくとも手応えをつかんだ試合も多い。終盤の連動性の高まりについて樋口靖洋監督は「ボールを失う可能性があっても、チャレンジすることを要求した。来季も引き続き意識していきたい」とスタイルの実践を追い求めていく。