一斉休校、米軍クラスター…猛威振るった新型コロナ 経済や雇用に打撃<沖縄この1年・2020>


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 国内外で新型コロナウイルスが猛威を振るった一年だった。21日現在、沖縄県内ではこれまでに4989人が感染し、79人が死亡した。世界の人々が感染防止対策を迫られ、沖縄でも日常の暮らしから伝統文化など、さまざまな方面で生活様式の変化を求められた。 (中村万里子、稲福政俊、比嘉璃子、沖田有吾)

対象者から直接検体を受け取る玉城デニー知事(中央)ら=7月25日、沖縄市の中部合同庁舎

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が2月1日に那覇に寄港し、下船した乗客がタクシーを利用した後、県内で初の感染がタクシー運転手に確認された。3月下旬、沖縄発着の海外航空路線は全便運休した。4月、政府は緊急事態宣言を全都道府県に拡大した。20日、県は独自の「緊急事態宣言」を出し、飲食店の営業時間短縮、沖縄への渡航自粛などを呼び掛けた。小中高は年度当初から一斉に休校し、児童生徒は5月半ばまでの1カ月半、自宅学習を余儀なくされた。雇用情勢は2月以降、有効求人倍率や完全失業率が徐々に悪化した。

 5~6月は新規感染者ゼロが続いたが、7月に入ると県内の米軍基地で感染者が急増した。米軍の防疫体制の不備や米軍機で直接基地に出入りできる日米地位協定の改定を求める声も上がった。

 7月以降、那覇市松山のキャバクラ店でクラスターが発生するなど「夜の街」から感染が拡大した。医療機関や高齢者福祉施設でのクラスターも相次ぎ、県は8月1日、再び独自の「緊急事態宣言」発出に踏み切った。松山などの飲食店従業員らに大規模なPCR検査を実施した。医療や検査体制が逼迫(ひっぱく)し、無症状者を検査対象から外した。

 入域観光客数は20年1月から10月末まで302万9300人で前年同時期に比べ64・8%減と大幅に減少した。外国人観光客は9割以上激減した。県は観光収入減少や県民の外出自粛による消費減少など経済損失を6482億円と推計。雇い止めや解雇も続出している。

 現在も持続的な流行が続く。飲み会などで感染し、家族や職場に広げるケースが後を絶たない。県は今月14日、「緊急特別対策」を発表。那覇、浦添、沖縄の3市の飲食店の営業時間短縮、離島間の往来自粛、年末年始の帰省や行事を控えるよう呼び掛けている。