バスケ男子・豊見城 エース渡久地「打てば入る」驚異の44得点で初戦突破 ウインターカップ1回戦


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豊見城―北陸学院 鋭いドライブからゴール下シュートを放つ渡久地政睦(中央)=23日、東京体育館(日本バスケットボール協会提供)

 序盤から鋭いドライブやアシストで攻撃をけん引した渡久地政睦。第4Qに入ると、中に入られることを警戒した相手が引き気味の守りに転換した。それを見た嘉陽宗紀監督が、ベンチで助言を授ける。「スリーをどんどん打っていい」。この一言が力を解き放つ。エースの“得点ショー”が幕を開けた。(長嶺真輝)

 4Q開始時点で5点ビハインド。すぐに3点弾を決めて点差を縮めると、「打てば入る感じ」という極度の集中状態に入った。スリーポイントラインから1メートルほど離れた所からシュートを沈め、守りが寄ってきたらドライブで相手を置き去りに。「逆にパスを出さな過ぎた」と自ら苦笑する程のパフォーマンスを見せ、4Qで豊見城が挙げた21点のうち、1人で19点を奪う勝負強さだった。

 大会前「苦しい時に味方にパスを回してしまう時がある」とエースとしての精神面の弱さを自戒していたが、この日は「自分で取りに行く」という強い心を持ち続けた。昨年は接戦となった1回戦で最後のレイアップを外し、初戦敗退。悔しさをバネに朝練習に連日取り組み、声も積極的に出すようになった。「意識を変えたことが生きた」と成長を実感する。

 総得点は高校の自身キャリア最高という44得点。「チームメートのリバウンドや守備に助けられ、波に乗れた」と仲間への感謝も忘れない。初の全国1勝にも「まだまだ」と満足しないエースが、次戦も豊見城を引っ張る。


 バスケットボールの全国高校選手権(ウインターカップ2020)は23日、東京体育館などで開幕して男女の1回戦が行われた。男子の豊見城は73―69で北陸学院(石川)との接戦を制し、全国大会で同校初の勝利をつかんだ。女子の西原も米子南(鳥取)との点の取り合いを制し、103―90で初戦を突破した。男子で20度の優勝を誇る能代工(秋田)が九州学院(熊本)に72―77で敗れた。能代工は来春、「能代科学技術」への校名変更が決まっており、現校名では最後の全国大会だった。女子では23度目の優勝を狙う桜花学園(愛知)が松徳学院(島根)を146―30で下した。