県内教育2020 コロナ禍、ネット環境格差や教員の多忙が問題に 文化・芸術では活躍


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学校再開後、新型コロナウイルスを正しく恐れる知識を共有し、安心して学べる学校づくりに取り組む浦添市立沢岻小学校の授業風景=9月9日、浦添市沢岻の同校

 2020年、新型コロナウイルスは沖縄の教育界も翻弄(ほんろう)した。感染防止のための休校は長期化し、再開後も現場は「3密」対策に腐心するなど、さまざまな対応に追われた。

  安倍晋三前首相は2月27日、全国に臨時一斉休校を要請する考えを表明した。県内の小中高校は3月2日から休校に踏み切ったが、感染者が出ていない離島などでは要請に応じない市町村もあり、休校期間にばらつきが生じた。

 新年度の開始も新型コロナウイルスにより遅れた。始業式もせず休校した学校も多く、児童生徒は担任も分からないまま自宅学習を余儀なくされた。

 休校中にはオンライン学習の格差が問題となった。私立学校や一部の公立学校はICT(情報通信技術)を駆使し、リモート授業などで学びを継続したが、多くの公立学校は児童生徒に課題のプリントを渡すことも苦労した。

各教室をオンラインでつないで開かれた生徒総会=7月22日、糸満市西崎町の西崎中学校

 5月下旬、休校が明けた。しばらくは分散登校が続き本格的な再開は6月だった。休校長期化で、各学校は夏休み短縮や行事の中止、土曜日登校などで授業時数を確保した。県教育委員会は21年3月に実施する県立高校入試の出題範囲縮小を決めた。再開後も教員の多忙化などが問題となった。

 コロナ禍でも文化・芸術分野で県内の児童生徒が活躍した。オンライン開催の写真甲子園では沖縄工業、浦添工業、知念の3高が本戦に出場。浦工と知念は特別賞を受賞した。急性リンパ性白血病の闘病経験がある沖縄尚学高3年の片山祈実香さんは、二つのエッセーコンテストで全国最優秀賞を受賞した。手作りマスクの寄贈、募金活動などボランティアに取り組む児童生徒も各地で見られた。昨年に続き、焼失した首里城の再建に向け資金造成にも取り組んだ。

立木義浩賞を受賞した浦添工業の8枚組作品「いつもそばに」の1枚(写真甲子園実行委員会提供)
公文健太郎賞を受賞した知念の8枚組作品「前略お元気ですか?僕は元気です」の1枚(写真甲子園実行委員会提供)

 教育行政では、知的障がいのある生徒を普通高校で受け入れる「ゆい教室」制度の導入が決まった。ゆい教室は21年度から県立真和志高校に設置される。ただ、生徒の在籍が県立島尻特別支援学校となるなど、課題は残っている。