星野リゾート代表「コロナ収束1年後を想定」「沖縄でビーチ以外の魅力つくる」本紙取材に


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 星野リゾート(長野県)の星野佳路代表が24日、読谷村のホテル「星のや沖縄」で琉球新報社のインタビューに答えた。新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受ける国内観光地の回復状況について「北海道と沖縄の回復が一番遅い」と指摘し、当面は5割程度の客室稼働率でも施設の収支が維持できるような経営対策を進めてきたことを説明した。新型コロナウイルスの収束まで今後1年ほどを想定しており、「観光地でしっかりとしたコロナ対策をとることが大事だ」と強調した。

インタビューに答える星野リゾートの星野佳路代表=25日、読谷村の星のや沖縄

 星野代表は、コロナ禍の観光振興戦略として、国内で近場の旅行を楽しむ「マイクロツーリズム」を提唱している。県外では「GoToトラベル」の効果もあり、1泊程度で近隣県の自然体験や温泉地を巡るツアー企画などが好評で、星野リゾートでもコロナ前と比べてマイクロツーリズムの需要が3倍に伸びたホテルもあるという。

 一方、隣接県がなく人口規模が小さい沖縄について、星野氏は「マイクロツーリズムには限界がある」と指摘する。国の雇用調整助成金を活用して従業員の雇用を維持しながら施設運営の損益分岐点を下げるなどし、赤字を避ける手法を取り入れている。

 一方で、これまでハワイに行っていた旅行者が沖縄に切り替えるケースが増えるなど、新たな需要を獲得する可能性があるという。

 星野代表は「離島も含めて沖縄の魅力の幅は広い。ビーチ以外の魅力をつくっていくことで閑散期の需要獲得にもつながる」と強調。海外旅行とは違った沖縄の伝統文化や食文化など地域の魅力をコンテンツ化して提供することで、新たな客層をリピーターにつなげることができるとした。

 星野リゾートは、今年7月に星のや沖縄(読谷村)とリゾナーレ小浜島(竹富町)を開業した。21年5月には、県内で運営する5施設目のホテルとなるOMO5沖縄那覇(那覇市)の開業を予定している。