過去最多の4182人が原告となった第3次普天間爆音訴訟で、弁護団は米軍機の飛行差し止めを「最も重要な目的」と位置付ける。住民はこれまでの訴訟でも差し止めを求めてきたが、米軍機の運航を制限する立場にないという「第三者行為論」が大きな壁となり、退けられ続けている。(前森智香子)
在日米軍機や自衛隊機の騒音被害を巡る訴訟は、これまで各地で起きている。被害を認めて過去分の損害賠償支払いを命じる一方で、飛行差し止めは認めないという判断が繰り返されてきた。
差し止めを巡り、弁護団が注目するのは第4次厚木基地訴訟判決だ。2014年の一審横浜地裁判決は、健康への影響と騒音被害の深刻さを認め、自衛隊機の早朝・深夜の飛行差し止めを初めて命じた。二審東京高裁も差し止め判断を維持したが、最高裁で覆った経緯がある。米軍機の差し止めについては退けられたものの、各地の原告や弁護団からは一定の評価の声が上がった。
新垣勉弁護団長は厚木の判決を挙げた上で「入り口さえ開けることができれば、米軍機といえども飛行差し止めをせざるをえない被害実態がある」と述べ、第三者行為論の打破に意欲を見せた。
1996年に日米両政府が普天間飛行場の返還に合意したものの、現在も運用停止の具体的な道筋は見通せていない。賠償金の支払いでは根本的な解決にはならない。「静かな日々を」と訴える住民の声をどう受け止めるか。国と司法の姿勢が問われる。