首里城焼け跡の赤瓦、正殿復元に再利用 粉砕して材料に 技術検討委方針


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 国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)の「木材・瓦類ワーキンググループ(WG)会議」が25日、沖縄総合事務局で開かれた。新たな正殿の赤瓦に、火災の焼け跡から回収した赤瓦を粉砕して混ぜる方向で検討することを確認した。焼失した正殿の貴重な遺産を再利用する。

火災で全焼し、がれきが散乱したままの首里城の正殿跡。奥は焼損した奉神門=2月、那覇市

 高良委員長は「火災焼失前の首里城の屋根には赤瓦や龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)をはじめとした、いろいろな人の苦労が詰まっている。その人々の思いをバトンタッチしたい」と思いを語った。

 会議では、焼け跡から見つかった赤瓦を粉砕した「シャモット」にクチャ(泥岩)と赤土を混ぜて焼成する県工業技術センターの実験結果が報告された。品質に大きな問題はなかったという。

 今後、さらに実験や調整を進めた上で、焼け落ちた赤瓦を使うかどうか判断する。

 正殿の構造材には国産ヒノキを使うことが決まっているが、それ以外の造作材には県産イヌマキ(チャーギ)、彫刻材には県産クスノキが使える可能性があるとして、調査を進めていることも報告された。

 正殿屋根に設置する龍頭棟飾と鬼瓦は前回復元時の仕様を踏襲する。