経済暗転 コロナで需要蒸発、第2滑走路は不発、豚熱も<沖縄この1年・2020>


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新型コロナウイルス感染症の影響で人通りの少なくなった国際通り=4月9日、那覇市

 2020年の沖縄経済は、新型コロナウイルスや豚熱という想定外の猛烈な暴風にさらされ続けた。
 旧正月(春節)に伴う中国の大型連休中だった1月27日、中国政府が新型コロナの拡大防止のために、中国から海外への団体旅行を禁止した。クルーズ船の寄港予定は次々と取り消され、県内のホテルや観光施設ではキャンセルが相次いだ。感染は世界的に広がり、3月24日には沖縄を発着する海外航空路線が全便運休となった。

 近年の経済成長を支えてきた観光業は、新型コロナによって深刻なダメージを受けている。入域観光客数は前年比で6割以上減少する見通しで、特に外国人旅行客(インバウンド)需要は蒸発した。外出自粛による県民の消費減少も相まって、県経済全体に甚大な打撃が生じている。

 県内経済界が待ち望んだ那覇空港第2滑走路は、3月26日に利用が始まった。航空機が円滑に発着できる能力(滑走路処理容量)は、従来の1・8倍となる年間24万回に拡大したが、コロナ禍で航空便は減便、運休が続いている。

 「食」に関わる問題も多かった。1月8日、うるま市の養豚場で、県内で34年ぶりの豚熱の発生が確認された。感染は拡大し、合計1万2381頭の豚が殺処分された。県は3月6日に沖縄本島全域の豚を対象にワクチン接種を開始し、4月14日、玉城デニー知事が「収束」を宣言した。

 沖縄は子牛の生産で全国4位の一大産地だが、3月、優秀な種雄牛の精液を使った和牛の繁殖を巡り、久米島町内の家畜人工授精師(当時)の男性が種付けした子牛に血統不一致が相次いでいることが本紙の報道で判明した。県は9月、男性の免許を取り消した。県畜産振興対策推進協議会は12月、産地の信頼を取り戻すことを目標に決起大会を開いた。

 10月には大宜味村のバナメイエビ養殖場で、国内で初の発生確認となる甲殻類の伝染性疾病「急性肝膵臓(すいぞう)壊死(えし)症」によりエビの大量死が確認された。県の調査では、周辺海域への影響は確認されていない。

(沖田有吾)