コロナ禍で刑法犯は減少 それでも強盗など凶悪事件には衝撃<沖縄この1年・2020>


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ゲーム喫茶強盗殺人事件の鑑識活動に当たる県警の捜査員=5月25日、那覇市具志

 2020年はコロナ禍で刑法犯認知件数が減少する一方、強盗事件や強盗殺人事件が発生するなど県民に衝撃を与えた。経済的打撃を受けた個人事業者向けの持続化給付金の不正受給も相次いだ。県警の取り締まりを受け、八重山地方を中心に活動した「半グレ」組織が解散を表明するなどの動きもあった。

 5月12日に北谷町北谷の両替店で現金約690万円が奪われる強盗事件が発生した。米憲兵隊が米陸軍兵と米空軍属の男2人の身柄を拘束し、県警による捜査が行われた。那覇地検は強盗と建造物侵入の罪で起訴し、那覇地裁は米陸軍兵に懲役4年6月、米空軍属に同3年6月の判決を言い渡した。

 5月25日には那覇市具志のゲーム喫茶店で従業員の男女2人が刃物で切りつけられ死傷する強盗殺人事件が起きた。県警は特別捜査本部を設置し、土木作業員の男を発生翌日の26日に逮捕した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた個人事業者向けの持続化給付金の不正受給も県内で横行した。県警は9月17日付で特別捜査本部を立ち上げ、現在までに4人を詐欺容疑で逮捕している。特捜本部は今後も悪質性や一定の組織性などが確認された場合には立件する方針で、県内での不正受給実態の全容解明を急いでいる。

 県内に3グループあるとされる「半グレ」組織の1グループが11月、八重山署に解散届を提出した。県警組織犯罪対策課と八重山署はリーダーの男を5回にわたって逮捕し、徹底した取り締まりで組織を壊滅に追い込んだ。

 3月には県内初の偽造クレジットカードの密輸事件も発生した。沖縄地区税関と県警は偽造に用いる機械やカードを密輸段階で摘発したため、被害は発生していない。県外での追跡捜査も経て外国籍の男女4人を摘発した。

 尖閣諸島周辺を巡る日中間の緊張感も増した1年だった。中国公船による接続水域侵入は4月14日から8月2日の連続111日間確認され、過去最長となった。領海内での中国公船による日本漁船への接近事案も7回確認され、尖閣諸島の国有化以降、過去最多となった。

 (当間詩朗)
 (おわり)