【識者談話】識名トンネル問題 「問われるのは県行政の体質や仕組み」 仲地博沖大名誉教授


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 全会一致で結論が出たのは、住民を代表する議会も元幹部らに負担を負わせるのは酷だと考えたからだろう。県民負担が生じるのはやむを得ない。

 問われているのは県行政の体質や仕組み、県職員の順法意識で、元幹部らのみの責任ではない。当初から適正な手続きを踏み、業者との調査が順調に進んでいれば、補助金返還の必要はなかった。

 県行政内部の何とかなるという考えや、内々で済まそうというなれ合いの構造が明らかになった。仕事を急ぐなどして、やるべきことが抜けていたのではないか。流れに任せて「なんくるないさ(何とかなるさ)」と甘えがなかったか。

 県行政の在り方全般を捉え直すことが大事だ。法に従った手続きや事業遂行をしていれば、職員が責任を問われることはない。法令を理解し、仕事をすれば違法や不当という問題は生じない。自治体の財務会計の運用方法は、不正や不当が生じにくいように丁寧に定められている。

 国と自治体の関係や自治体内部のやり方の見直し、法治主義の徹底が今回の反省材料だ。それを押さえて業務を執行してもらいたい。(行政法)