ハンドボール王国から希望の「太陽」に ザ・テラスホテルズ 今年から日本リーグへ参戦


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 ハンドボール王国と称される沖縄の女子チームが今年、国内トップのリーグである日本リーグ(JHL)に参戦する。名護市を本拠とする「ザ・テラスホテルズ」だ。選手全員がホテルの業務に携わりながら日々の練習に打ち込んでいる。チームの愛称は太陽を意味する「ラ・ティーダ」。JHL2021―22シーズンから加わる。沖縄を拠点に国内トップリーグで戦うチームは5チーム目で女子は初めて。沖縄のスポーツ界を太陽のように明るく照らし出す活躍が期待される。

 創部は2017年。県内で五つのホテルを展開するザ・テラスホテルズ(名護市)が県内初となる企業チームとして設立した。トップリーグの参入を目指して19年に本格始動。ジャパンオープントーナメントや日本選手権などで経験を積んできた。JHLを統括する日本ハンドボールリーグ機構から20年8月に女子リーグ10番目のチームとして承認された。下部リーグ「チャレンジ・ディビジョン」で戦う今季を経て、21年いよいよチャレンジの年が幕を開ける。

きっかけは社内企画

 名護市喜瀬のホテル「ザ・ブセナテラス」が17年に開業20周年を迎えるに当たっての社内企画がチーム誕生のきっかけだった。「社員が一丸となり誇りになるものをつくりたい」。発案者である総合企画部ホテル業務推進グループの河崎大樹チーフは「県民にも応援してもらえる」事業として企業チームに注目した当時を振り返る。県勢が実績を残してきたスポーツで、女性スタッフが多い業態であることから女子ハンドが最適と判断した。

 リーグ参入には、ジュニアチームを持っていることが要件となる。北部地域には中南部に比べ競技指導者も少なく、ジュニアを通じて育成に関われることが企業やチーム、地域の未来にもつながるとの期待感も膨らんだ。

地域に元気届ける

 選手はトライアウトなどを経て現在15人。うちリーグ経験者はGKの田口舞とコートプレーヤーの比嘉美咲紀の2人のみ。ほとんどがリーグ初挑戦となる。

 田口は「学生のように『楽しいから』は通用しない。結果が求められるシビアな世界」と緊張感も持つ。以前所属したチームも地域に支えられるチームだったと言い「自分たちだけではないと感じてコートに立てる喜びと責任がある。チームメートには自覚してもらいながら、少しずつでも前に進んでいけたらと思う」と先を見据える。

 田口から今季、主将のバトンを受け取った中山朋華は「気持ち的にもまだ弱さがある」と課題を挙げつつ「気持ちをぶつけ合えるチームにしたい。地元名護市のために、元気を与えられるよう頑張りたい。チャレンジの年にしたい」と目を輝かせる。

 昨年はコロナ禍でリーグ参入を前にチーム内にも不安が広がった。しかし新たな挑戦は多くの人に希望を与えると信じ、飛躍を目指して力強く踏み出す。

文・謝花史哲
  写真・新里圭蔵

期待の県出身選手

榎本葉月

榎本葉月
1996年8月16日生まれ、石垣市出身。八重山商工から九州共立大に進み、2018年のトライアウトを経て19年に入団を果たした。
151センチ、右利きのRW。学生時代、トップレベルの経験はなかったが、競技への熱は冷めず、リーグを目指すチームが沖縄で設立され目標が定まった。
「チームの雰囲気を変えられる選手になりたい」と意気込む。

比嘉美咲紀

比嘉美咲紀
1992年1月27日生まれ、浦添市出身。浦添商出。環太平洋大学から2014年に日本ハンドボールリーグの飛騨高山ブラックブルズ岐阜に入団。
5年間リーグを経験し、19年に移籍した。160センチ、右利きのLW。
「昨年は暗いニュースが続いた。みんなを元気にするプレーを見せたい。頑張ってと言われるチームをつくっていきたい」と成長を誓う。