台湾の若き大臣 オードリー・タン氏の「二つの思春期」…違いこそイノベーションを生む


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子
CC BY 4.0 黃建賓 Chien-Pin Huang親子天下 CommonWealth Education Media and Publishing co.Ltd

 沖縄に隣接する台湾で、史上最年少の大臣として活躍するオードリー・タンさん(39)。出生時に割り当てられた性別とは異なる性を自認するトランスジェンダーでもある。

 10代の第二次性徴で男性の、20代はホルモン療法で女性の「思春期」を経験した。「両方を経験して『自分は地球の半分の人と同じで、もう半分とは違う』と思わなくなった」という。両性の経験を持つ「人類」として、弱者の痛みを経験した者として「すべての人に等しく接する」を胸に抱く。

 コロナ禍におけるマスク不足の解消のために「マスクマップ」を開発するなどデジタル技術を駆使して、政府の情報を市民に開き、市民の声が政府に反映される仕組みを考案した。市民参加型社会は「誰1人取り残さない」を掲げる持続可能な開発目標(SDGs)そのものである。

 違いを共有することから創造が生まれると言う。タンさんは「全員が何らかのマイノリティーだ」と強調する。

CC BY 4.0 柯曉東

唐鳳(タン・フォン)

 1981年生まれ。幼少時から独学でプログラミングを学び、中学校を自主退学。起業しつつ2010年から米アップル社の顧問を務め、IT業界で名をはせる。20代でトランスジェンダーを宣言。14年、台湾の学生運動「ひまわり運動」をIT技術で支援。16年、35歳でデジタル担当大臣に就任した。政府の透明性実現、官民連携などで成果を上げる。10月には台湾と沖縄で連携して観光地をVR(仮想現実)旅行する商品の開発を提案した。