ボクシングの第57回県高校選手権最終日は28日、沖縄水産高で各階級の決勝が行われた。バンタム級は谷口光華(那覇西)が3―0で大城圭立(中部商)に判定勝ちした。フライ級は福原幸輝(石川)が新崎隆士(沖縄水産)に3回1分52秒で反則勝ちし、ライト級は吉永陸人(KBC未来)がRSC2回1分36秒で玉城亜洸(沖縄水産)を下した。ピン級の川端麿裕(陽明)とライトウエルター級の山口寧斗(沖縄水産)は認定優勝し、ライトフライ級の與那嶺翔(豊見城)は不戦勝した。最優秀選手賞はバンタム級の谷口が選ばれた。
ハイライト 闘志全開、2Rで一気
バンタム級の谷口光華は試合前からキレのあるシャドーを繰り返し、闘志に満ちあふれていた。相手は南部九州総体16強で、3年最後の試合に臨む大城圭立。「実力がある選手に勝つことだけを意識した」と挑戦者として向き合った。
1ラウンドから相手のパンチは重く早かったが、「見切ってよけるか、ブロックをしっかりやれば大丈夫」と落ち着いていた。互角の展開で迎えた2ラウンド。開始すぐに前に詰めてレフェリーが止めるまで連打。相手のヘッドギアが外れ「決まったと思える瞬間だった」。
その後もスタミナは衰えず、足の止まった大城をロープに追い込んでは左右の連打を入れた。初優勝に「マンツーマンで教えてくれた先生と応援のおかげ」と感謝した。
高校進学を機に東京から移り住み、1年夏からただ一人の部員として仲村泰洋監督と屋外で練習に打ち込んだ。6人兄弟の長男。下の子の世話があり、練習は週3回のみ。それでも「質の高い練習を意欲的にできた」と振り返る。
「県外から来て最初は周囲から浮いていた」と言うが、ひたむきに練習するうち、徐々に応援する声が増えていった。「チャレンジャーではなく県のチャンピオンとして自信を持って戦いたい」と4月の春季大会でも優勝することを誓う。 (古川峻)
【高校選手権】
▽ピン級認定優勝 川端麿裕(陽明)
▽ライトフライ級
與那嶺 翔(豊 見 城)不戦勝與座力希夏(宮 古 工)
▽フライ級決勝
福原 幸輝(石 川)反則新崎 隆士(沖縄水産)
▽バンタム級決勝
谷口 光華(那 覇 西)判 定3―0大城 圭立(中 部 商)
▽ライト級決勝
吉永 陸人(KBC未来)RSC2回1分36秒玉城 亜洸(沖縄水産)
▽ライトウエルター級認定優勝 山口寧斗(沖縄水産)
▽大会最優秀選手賞 谷口
【アンダージュニア選考会】
▽九州選考会派遣選手男子28―31キロ級 新垣輝真(志真志小)
▽同33―36キロ級 中嶋愛士(古蔵中)
▽同36―39キロ級 新垣武丸(宜野湾中)
▽同39―42キロ級 根間空志(神森中)
▽同48―51キロ級 金城寿幸(普天間中)
▽同51―54キロ級 吉永羚将(平良中)
▽同57―60キロ級 盛真和(中城中)
▽同女子31―34キロ級 新垣愛梨涼(長田小)
▽同34―37キロ級 日〓杏樹(与那原小)
▽同39―42キロ級 新垣彩菜(開邦中)
▽同42―45キロ級 水谷仁胡(琉大付中)
前に重圧かける スタイルを出す フライ級福原
11月の新人大会で大会初出場を果たしたフライ級の福原幸輝が、新人に続いて2度目の優勝をつかんだ。相手が複数の注意を受ける反則による勝利だったが「前にプレッシャーをかけるスタイルは出せた」と納得していた。
じわじわと前に出てリングサイドに追い詰め、強烈な左フックや右ストレートを見舞った。一方、ダメージはなかったが相手からパンチをもらい、狙っていたスエーバックからの反撃もうまくいかず課題が残った。
比嘉大吾に憧れて高校からボクシングを始め、2年生になって学校に部を発足させた。
初の九州は「まず1回戦突破を目標に一つ一つ勝っていきたい」と意欲を見せた。
圧倒的な優勝も 九州への通過点 ライト級吉永
上半身を少し揺らしながら悠然とした足取りでプレッシャーをかけるライト級の吉永陸人。2ラウンドから「顔を狙って上に意識を向けさせて下を狙う」と、ボディを1発入れたところでストップが入り、RSC勝ちした。
1ラウンドは「一発でカウンターを決めようとしすぎた」と手数が少なくなった。新人大会は1ラウンドで圧倒しただけに「慎重になりすぎた。時間がかかってしまった」と残念そうだった。
手数とスピード、ボディへの意識など課題が見えた。
1月の九州新人の前哨戦となるこの大会は、あくまで通過点にすぎないと考えている。「まず九州で優勝して、全国も取りたい」と闘志を燃やした。