高齢者虐待、205件最多 県内19年度 11件増、息子が半数


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 県高齢者福祉介護課は28日、家族や介護施設従業員などによる高齢者への虐待が、2019年度は県内で205件あり、前年度より11件増加して過去最多を更新したと発表した。

 家族や親族などによる虐待は198件で、被虐待者は208人。被虐待者の内訳は女性が142人(68.3%)、男性が66人(31.7%)で、年齢は80~84歳が59人(28.4%)、75~79歳が42人(20.2%)、85~89歳が34人(16.3%)などだった。要支援・要介護状態にある人は91人で全体の43.8%だった。認知症で何らかの支援が必要な人は56人で全体の26.9%を占めた。

 虐待者(複数回答)は、息子が最も多く107件(49.3%)、夫が42件(19.4%)、娘が23件(10.6%)などとなっている。虐待の種類(複数回答)では、身体的虐待が最も多く137件(65.9%)、心理的虐待が97件(46.6%)、経済的虐待が42件(20.2%)、介護や世話の放棄・放任が29件(13.9%)、性的虐待が3件(1.4%)だった。県の担当者は増加の理由について「那覇市など主に市部で増えている。地域包括支援センターの設置により、これまで拾えていなかった案件を拾えるようになったため」と説明した。

 介護施設での虐待は7件あり、被虐待者は9人。特別養護老人ホームと住宅型有料老人ホームがそれぞれ2件、介護老人保健施設、養護老人ホーム、通所介護がそれぞれ1件。虐待者(複数回答)は介護職が7件、看護職、管理職、その他がそれぞれ1件。虐待の種類(複数回答)は身体的虐待が最も多く6人(66.7%)、心理的虐待が4人(44.4%)などとなっている。県や市町村が指導・監督に入ったという。