沖縄県内障がい者事業所の78%が減収 コロナが就労に影響


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 琉球新報は28日までに、障がい者に就労機会を提供する県内の就労継続支援事業所を対象に、新型コロナウイルスの影響を尋ねるアンケートを実施した。回答のあった170事業所のうち78・2%(133カ所)が、今年4~8月の生産活動による収入が前年同時期に比べ減少したことが分かった。3密を避け実施できる農作業や新商品の開発などで、コロナ前の収入を維持する事業所もある一方、全体の41・8%(71カ所)は利用者の賃金・工賃が減少するなど、発注元の不振やイベント中止が続き、障がい者の就労機会に影響が及んでいる。

 就労継続支援事業所は、一般の企業などで就労が困難な障がい者を対象に、生活訓練や仕事の機会を提供する。利用者と雇用契約を結び、収益から最低賃金以上を支払う「A型」と非雇用型の「B型」がある。アンケートは県セルプセンターの協力の下、県内のA、B型の各事業所に配布。収入や賃金への影響に焦点を当て、今年4~8月を前年同時期と比較し、運営を継続する上での要望を聞いた。420カ所に配布、170カ所から回答を得た。

 生産活動による収入が「減少した」と回答した事業所133カ所のうち、収入の1~2割減が40カ所、3~4割減が39カ所、5~6割減が27カ所、7~8割減が15カ所、9割以上または収入がゼロは12カ所だった。収入減の主な理由に「受注する作業の減少や停止」「取引先の休業や経営不振」「商品やサービスの販売・提供機会であるイベントの中止や延期」などを上げた。一方、農作物の売り上げの伸びや行政からの受託作業に変動がなかったことなどを理由に、全体の14・7%(25カ所)は収入が「コロナ前と変わらない」、7・1%(12カ所)は「増加した」と回答した。

 事業所の利用者は、原則生産活動による収入から毎月の工賃や賃金を受け取る。島村聡沖縄大学教授(社会福祉)は「障がい者の就労支援の事業形態が、下請けや受託事業で多くを占めていることに課題がある」と指摘している。 (吉田早希)