障がい者の働く場、コロナで打撃 運営継続へ新たな収入源の模索も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ピンセットを使い青のりの選別作業をする利用者ら=9日、南城市のワークサポートセンターFour―leafくろーばー

 琉球新報が実施したアンケートでは、取引先の経営不振や商品販売機会となっていたイベントの中止で、多くの事業所で生産活動収入が減少する現状が浮かび上がった。各事業所では障がい者の社会参加や収入確保に向けた模索が続いている。

 琉球新報が実施したアンケートでは、取引先の経営不振や商品販売機会となっていたイベントの中止で、多くの事業所で生産活動収入が減少する現状が浮かび上がった。各事業所では障がい者の社会参加や収入確保に向けた模索が続いている。

 うるま市の障がい者就労支援施設B型「うるまチャレンジド」は、生産活動の柱であったベッドメイキングの仕事が激減し、4~8月の収入が前年同時期より7~8割落ち込んだ。約25人の利用者の工賃も5割ほど減少。7月に開業した食堂は、コロナの影響で徐々に客足が減り、現在は弁当販売に切り替え対応する。

 農園の手入れや卵のパック詰めなどの受注も取り入れ、利用者の工賃確保に努めている。管理者・サービス管理責任者の佐久田盛徳さん(78)は「事業所の運営支援や利用者の工賃補償を求めたい。厳しい状況だが利用者のためにも、コロナに負けるわけにはいかない」と強調する。

 南城市の多機能型事業所「ワークサポートセンターFour―leafくろーばー」は、既存事業の生産量の見直しや農作業の強化でコロナ前の生産活動収入を維持している。與那嶺忠所長(58)は「コロナ需要に対応し、売り上げが落ち込む他事業をカバーする必要があった」と話す。コロナ禍で保存期間の長い乾物などの需要が伸びると予測。完全委託を受ける乾燥ワカメやアーサの生産量を以前の1.5倍に増やすことを企業側に提案した。

 そのほか、デリバリー需要を予想したポスティングの部数増加、3密を避けて実施できる農作業を主な柱に、他事業の収入落ち込みを補った。ポスティングや乾物商品製造による収入はコロナ前よりそれぞれ2~3割増えたという。

 9日、南城市のみやぎ農園では同事業所の利用者らが、野菜の計量や袋詰め、鶏卵の選別作業に汗を流した。卵を選別していた利用者の名嘉俊さん(28)は「仕事が続けられ、やりがいがある」と話した。

 與那嶺所長は「福祉の事業所はライバルではない。利用者のため、事業所同士もアイデアを出し合い、働ける場を広げていきたい」と力を込めた。
 (吉田早希)