女性管理職20%を達成した企業が目指す「雑木林経営」とは 沖縄・金秀グループの戦略


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談笑する金秀グループの呉屋守将会長(右から3人目)と金秀商事の砂川久美子副社長(同2人目)ら=那覇市の金秀本社(喜瀨守昭撮影)

 建設業や小売業を展開する金秀グループは2012年、「女性社員の割合が20%なら、女性管理職も20%に」と、役員を含む課長職以上の「幹部職」を当時の7%から10%に上げる数値目標「W(ウィメンズ)10」を打ち出した。早々と実現して翌13年には目標値を倍増させて「W20」を作り16年に達成した。20年(2月現在)は18.0%に下がっているが、全国企業平均の11.9%(19年、厚労省調査)を上回り、取締役は74人中10人が女性だ。

 「自分はけちだから。女性の力を使わないのはもったいない」。呉屋守将会長の言葉は、笑いで包みながら経営者としての軸が通る。

 家庭では「女房が1人で子育てをした。僕は失格者」という。12年ごろ、経営を考える中、かつてどの学級にもいた成績優秀な女生徒たちが消えていることに気が付いた。女性や若者にチャンスを提供し、経験を積んで役員に昇進できる仕組みをつくり、一気呵成(かせい)に登用数を増やした。

インタビューに答える呉屋守将会長

 「どんな人でも生かして結果を出すのが経営者」という理念は以前からあった。

 目指すは「雑木林経営」。目立つ高木も足元のコケも、互いが補完し合い全体として生産性を上げる。社員の定時退社、全社員が役員を評価するアンケート、忖度(そんたく)しない意見を尊重する風土づくりとそのための取り組みは多い。聞いているうちに「女性」はキーワードではなくなっていた。

 好調な業績を残す金秀商事の砂川久美子副社長の言葉が力強く響いた。「処遇改善や働き方改革は男女とも進んでいる。トップの本気が成功の鍵だ」 (黒田華)