全国高校バスケ 那覇中出身の山内が存在感 仙台大明成の逆転Vの原動力に


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仙台大明成―東山 積極的にドライブを仕掛ける仙台大明成の山内ジャヘル琉人(左)=29日、東京体育館(日本バスケットボール協会提供)

 バスケットボールの全国高校選手権最終日は29日、東京体育館で男子決勝が行われ、仙台大明成(宮城)が東山(京都)に72―70で逆転勝ちし、3年ぶり6度目の優勝を果たした。仙台大明成は42―55で迎えた第4クオーターに激しい守備からの速攻で追い上げ、70―70だった残り5秒に山崎一渉が決勝のシュートを決めた。逆転の原動力となった仙台大明成の山内ジャヘル琉人(那覇中出)は大会ベスト5に選ばれた。県勢の選出は2014年の津山尚大(北谷中―福岡大大濠高出、アルバルク東京所属)以来、6年ぶり。

大会ベスト5選出

 試合序盤はリードを広げたが、第2Q以降は常に劣勢を強いられた仙台大明成。第3Q終盤で34―51とリードを広げられた。佐藤監督も「諦めかけた」という土壇場で強い存在感を放ったのが、3年生の山内ジャヘル琉人だ。

 「苦しい時は俺が助ける」と3点シュートやスチールからの速攻で気を吐く。山内のプレーでチームのスイッチが切り替わる。追い詰められた劣勢から一転、次第に圧倒していった。

 13点差で迎えた最終第4Qも190センチの山内が高い身体能力を生かして守備リバウンドを奪い、アシストで仲間を生かして点差を詰めていく。残り約4分、試合序盤からシュートタッチに苦しみ続けた3点弾を勝負どころで沈め、差は2点に。直後の守備ではこの試合6本目となるスチールからレイアップを決め、ついに同点に追い付いた。

 「保護者など、支えてもらった人への感謝の気持ちをコートに出そうとプレーした」と強気を保ち続けた山内。同点だった残り36秒で再び3点弾を決め、一時勝ち越した。山崎の決勝シュート後、試合終了ブザー直前に相手ボールを奪うと、ほえて喜びを爆発させ、仲間と強く抱き合った。先発として36分16秒出場し、チームで2番目に多い18得点を挙げる活躍だった。

 テレビ中継で解説を務めた日本代表主将の篠山竜青は最も熱いプレーに山内の3点弾を挙げ「勝負どころで入れ、リズムを取り返すメンタルの強さを感じた」と称賛。インタビューを受けた山内は「とてもうれしい。3年間仲間とやってきたことを出すという気持ちでプレーし、最後に勝ちきれた」と達成感をにじませた。