基地負担軽減は「一つ一つ積み重ね」 辺野古は「唯一」 加藤官房長官


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠
インタビューに答える、沖縄基地負担軽減担当相を兼務する加藤勝信官房長官

 沖縄基地負担軽減担当相を兼務する加藤勝信官房長官が1日までに琉球新報などのインタビューに応じた。担当の基地負担軽減については、昨年末の普天間飛行場のゲート付近の土地返還などを挙げ「一つ一つ積み重ねが大事」と取り組みを強調した。普天間飛行場の危険性除去については「辺野古移設が唯一の解決策」との認識を繰り返した。辺野古の埋め立て土砂を、戦没者の遺骨が眠る沖縄島南部から採取する計画に批判があることについては「法令で採取が認められた鉱山から調達することになる」と述べた上で、政府も進める遺骨収集にも言及して「こういうことに配慮した上で事業が営まれることになる」と話した。(安里洋輔)

 Q:沖縄基地負担軽減担当相として沖縄の基地問題にどう取り組むか。
 A:戦後70年ほどたった今も、沖縄の皆さんには大変大きな基地負担をしていただいている。この事実、政府としてもしっかりと受け止めていきたい。沖縄視察でも基地負担の状況を再認識した。沖縄の基地負担軽減は政権の最重要課題という位置づけだ。とりわけ、世界で最も危険とされる普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。辺野古移設を着実に進め、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現したい。本土復帰後最大の返還となる北部訓練場の過半の約4千ヘクタールの返還は既に実現し、昨年12月には普天間飛行場の佐真下ゲート付近の土地についても返還が実現した。小さな成果だが、こうしたことを一つ一つ積み重ねていくことが大事だ。引き続き関係閣僚とも連携をとりながら、結果を出していきたい」

 Q:米軍普天間飛行場の移設問題では、沖縄防衛局による辺野古の工事の設計変更申請について県は不承認とする見込みだ。
 A:「沖縄防衛局は、地盤改良に関わる設計方法や環境への影響などの検討を十分に行った上で、変更承認申請書を提出した。現在、県において申請に対する審査手続きが進行中だ。予断をもって申し上げることはできないが、適切に対応いただけると考えている」

 Q:辺野古への土砂投入から2年。土砂の調達先に沖縄戦激戦地の南部が含まれることへの批判もある。
 A:「埋め立て変更申請書には、県内での岩ズリの採取場所として県南部も含む複数の候補地が記載されている。採石業者に対して広くアンケートを行い、『県内で出荷することが可能』との回答を得た場所を取りまとめた結果だ。実際の調達先は、埋め立て工事の実施段階で決まり、現時点では確定していない。いずれにしても、関係法令で採取が認められた鉱山から調達することになる。先の大戦で凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今もなお、県と厚生労働省と連携して戦没者のご遺骨の収集も進められている。関係機関と連携の上、こういうことに配慮した上で事業が営まれることになる」

 Q:辺野古の軟弱地盤を巡って米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書で、新基地建設を困難視する報告があった。自民党内からもさまざまな見直し論が出てきている。民意も踏まえ、計画を見直す必要性についての考えは。
 A:「米国のシンクタンクの報告書や、個々の議員の発言について政府としてコメントするのは差し控える。繰り返しになるが、日米同盟の抑止力維持のためには、普天間飛行場の危険性の除去、ひいては辺野古移設が唯一の解決策で、この方針に基づいて着実に工事を進めていく。この点について米国政府にも累次確認している」

 Q:現行の沖縄振興特別措置法が2021年度末で期限切れを迎える。特措法延長の考えはあるか。
 A:「1972年の本土復帰以降、沖縄の抱える特殊事情を踏まえ、5次にわたり特別措置法が制定され、さまざまな政策が講じられてきた。こうした振興策で沖縄経済は着実な成長を遂げている。現行法の期限後の扱いについては現在、内閣府でこれまでの沖縄振興についての検証が行われている。検証結果を踏まえ、沖縄振興予算の額も含め期限後のあり方について検討する。現時点で具体的なことは答えられない。引き続き沖縄振興策を総合的、積極的に推進していく」

 Q:基地問題と沖縄振興はリンクしていないとの考えか。
 A:「沖縄発展のための基地問題への対応と、返還された基地の跡地利用を含めた沖縄振興策。政府は、それぞれ重要な政策課題と位置づけている。両者を総合的に推進していく。そういった意味では両者はリンクをしている」

 Q:県が辺野古移設への反対姿勢を示してから一括交付金の減額が続いている。
 A:「振興予算については、2013年の安倍首相(当時)発言で以前よりも相当高い水準となり、ここ数年間ほぼ同額で推移している。毎年の財政状況などを踏まえて、各政策の所要額を積み上げて、額を確保してきている。県政の基地問題に対する姿勢と、沖縄振興予算は関連するものではなく、予算は政策の所要額を積み上げて、編成されてる。一括交付金についても執行実績などを踏まえて必要額を計上している。意図的に上げたりとか下げたりしているものではない」