コザで話題の自転車店 米出身のベニーさんが2周年


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 【沖縄】沖縄市の一番街内にあるビンセント・トムソンさん(35)=米国出身=が営む自転車店が、愛好者や地域で話題になっている。店名は「Vincent’s Bike Shop(ビンセントバイクショップ)」で先月、2周年を迎えた。苦境を乗り越え、気さくな人柄と相まって丁寧なサービスで“応援団”を広げている。

 普段は、ベニーの愛称で呼ばれているトムソンさん。米軍基地のキャンプハンセンやフォスターに所属していたが、2017年に退役。その頃、日本語の指導を受けていた那覇市出身の睦月さん(35)と結婚した。退役後も「沖縄にとどまりたい」との強い思いから、子どもの時から大好きだった自転車店の起業を決意した。

一番街の人気店になっている自転車店オーナーのトムソンさん(左)とスタッフのルイスさん=18日、沖縄市の一番街アーケード

 しかし、外国籍の人にとって起業のハードルは高い。言語の壁があり、開店資金や店舗物件探し、登記、取引先とのやり取りなど難題に直面した。トムソンさんの情熱を後押したのが睦月さん。自ら奔走して難題をクリアし18年11月、開店の悲願をかなえた。

 新車だけでなく、中古自転車販売にも力を入れ、レンタルもしている。購入後のメンテナンスにも対応。口コミで評判が広がり、今では愛好者が交流する場所にもなっている。最近スタッフに友人でカナダ出身のジョン・ルイスさん(53)が加わった。

 トムソンさんは「環境に優しく、自然の空気を満喫できるのが自転車ライフ。自転車がもっと身近になるように魅力をアピールしていきたい」と夢を語った。

 約60カ国、1850人余の外国籍市民が暮らすという沖縄市。起業に意欲を示す外国人が多く、外国人の創業支援もしているのが沖縄市の「スタートアップラボラグーン」。豊里健一郎代表は「ベニーさんの頑張りは手本です。言葉の違い、異なる商習慣、ビザ取得など諸問題を解決し、外国籍市民が起業しやすい環境をつくっていきたい」と話した。バイクショップの問い合わせは(電話)080(9109)8841(睦月さん)。

(岸本健通信員)