米軍訓練 移転で拡大 104号越え 1回の発射弾数4倍


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 米軍が金武町のキャンプ・ハンセンで1997年まで実施していた155ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練が県外に移転後、訓練1回当たりの発射弾数が4・1倍、年平均の発射弾数が2倍に増えていることが30日までに分かった。沖縄で「県道104号越え」射撃訓練を廃止するとして、日本政府が費用を負担して県外5カ所で実施している。名目は沖縄の基地負担軽減だが、日本全体で見れば事実上、訓練が強化・拡大され、米軍にとって好都合となっている実態が改めて浮き彫りとなった。

 県によると73年から97年の移転までに県道104号越えの実弾射撃訓練は180回実施された。県が確認した発射弾数は3万3100発だった。弾数が不明の73年と86~90年を除いて割り出すと、訓練1回で平均約242発撃ち、年平均の発射弾数は1742発だった。

 一方、防衛省によると、移転した97年から2019年度までの23年間で81回訓練し、弾数は約8万1千発に上る。1回当たり千発で、年平均で3522発となる。訓練日数は699日に及び、米軍の人員約2万1800人、約4900両の車両が参加した。

 沖縄で実施している間も発射弾数は増加傾向にあり、軍事技術や兵器機能の向上が影響している可能性もある。ただ、県外に出ていくことで、より実戦に近い訓練となった。

 移転後、非人道的であるとして国際的に批判を受けている白リン弾も使っている。米海兵隊の新しい戦略構想「EABO」で使う高機動ロケット砲システム「ハイマース」も発射していないが訓練時に持ち込んだ。

 県平和委員会の大久保康裕事務局長は「負担軽減という名目の裏に、訓練が増えただけでなく、日米軍事一体化が進んでいる」と語った。 (明真南斗)