古紙「逆有償」に問屋「打開策見つからず」 中国輸入制限が影響


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 中国の古紙の輸入制限などを受けて、県内の回収業者や古紙問屋にさまざまな影響が広がっている。問屋では回収した古紙の出荷が滞り、保管庫に山積みにされている。新型コロナウイルス感染症を背景に物流コストも上昇するなど、業者の経営は厳しさを増す。その中で、自治体などから処理費用を受け取る「逆有償」を導入せざるを得ない状況にある。

海外への輸出が滞り、積み上がった古紙の山。ふじ産業では、11月にはすでに中国への輸出を止めた=28日、南風原町のふじ産業本社

 「いつ回復の兆しが見えるのか検討もつかない」。古紙回収・リサイクル会社ふじ産業(南風原町)の大城裕社長(49)は、積み上がった古紙の山を厳しい表情で見詰めた。中国への古紙の輸出は11月にストップし、圧縮梱包(こんぽう)した古紙がいくつも積み上がる。「1年で最も古紙の回収量が増えるのが年末、次が3月の引っ越し時期。まだまだ集まるよ」と苦笑いした。

 同社では8~9割を海外へ、残りを国内のリサイクル業者に売っている。中国の輸入制限の影響を受ける中、新型コロナの感染拡大が追い打ちをかけた。「物流が停滞し、古紙を運搬する船賃はかなり上がった。沖縄は島しょ県だ。古紙単価が下がる一方で、船代の高騰は相当厳しい」と大城さん。最近は中国に出荷していた古紙を、他国へ出荷し始めていたが「コンテナ船があまり沖縄に回ってこなくなっている。輸出自体が難しい」という。

 他のリサイクル業者からは「リサイクル循環の基盤が崩れる可能性がある」と不安の声も聞こえる。「行政が頭を抱えているのもよく分かる。逆有償にはしたくない。でもコロナが終息する様子もなく、打開策が見つからない」。大城さんは大きなため息をついた。

(嘉数陽)