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「夢与えたい」 引退後も社会人でプレーの元琉球キングス・新城真司<ブレークスルー>


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 琉球ゴールデンキングスなどでプレーし、昨季限りでプロバスケットボール選手を引退した新城真司(28)=沖縄市出身=が次の競技人生へと足を踏み出している。石垣市で働きながら社会人大会に出場し、九州、全国を目指す。今後は勤め先が運営するバスケ教室で技術指導も行うという。高校までの経歴をほぼBチームで過ごした新城。「自分を見て、社会人選手や子どもたちに『自分でもプロになれる』と思ってほしい」と、周囲に夢を与える存在になることを思い描き、島から挑戦を続ける。

社会人チームの双葉建機でプレーする新城真司=13日、南城市の玉城総合体育館(大城直也撮影)

■練習生でスタート

 小学4年でバスケを始めた。山内中ではサッカー部に入ったが、3年で再びバスケ部に。「中学は中途半端だったから、強いチームでバスケをやりたい」と、高校は名将の安里幸男監督率いる美来工科に進学した。しかし「目立つ選手でもなかった」とベンチを温める日々。全国を経験することもなかった。

 クラブチームに所属していた2012年に転機が訪れる。ある日、地元の先輩である山内盛久や親友の並里成との縁でキングスの練習に参加した。すると、当時アシスタントコーチだった伊佐勉から「本気でバスケしたいか?」と声を掛けられ、とんとん拍子で練習生に。チームではムードメーカーの役割を担い、13~17年は選手契約を締結した。その後、B2(当時)の信州、福岡に所属し、昨季で現役を退いた。

 自身のキャリアを「奇想天外」と表現する新城。「bjリーグでは主力じゃなかったけど優勝を経験し、B2では試合にも出た。プロになる能力じゃなかった自分がプロとしてプレーできたことには驚きがあった」と振り返る。引退前はけがで戦線離脱して終えたが、福岡に在籍した最終シーズンは1試合15~20分の出場時間を得て「技術面で限界までやり切った」と引退を決意した。

■指導にも意欲

 現在所属するのは、石垣市で土木建設機械のレンタルなどを展開する双葉建機のチーム。福岡に入団する前の1年間、プロチームに所属していない時期に友人の誘いで勤めていた会社だ。今月13日の県社会人大会では、笑顔を絶やさず、楽しそうにプレーする姿があった。普段はレンタカーの貸し出しスタッフをしながら、プレーを続ける。今大会は3位で九州出場はかなわなかったが、新城は「全国を目指したい」とはっきりと目標を語る。

 バスケが盛んな地元の沖縄市ではなく、石垣島を新たな居住地に選んだ新城。「いいコーチは一カ所じゃなく、いろいろな所にいた方がいい」とバスケスクールでの指導にも積極的に取り組む。「僕はアマチュアに近いプロだったと思う。双方の架け橋になり、若い子たちに『努力すればプロになれる可能性がある』ということを伝えたい」と語った。

(長嶺真輝)