玉城沖縄知事 新基地問題で日米沖の再協議を要求 22年は新振計へ政府と協議


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合同インタビューで記者の質問に答える玉城デニー知事=25日、那覇市の県庁

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、建設阻止の公約を掲げ政府との「対話」を求め続ける玉城デニー知事に対し、「辺野古が唯一の解決策」の姿勢を崩さない菅政権。2021年はSACO(日米特別行動委員会)合意から25年を迎えるが、沖縄の過重な基地負担は今も続く。新型コロナウイルス感染症への対応が大きな課題となる中、21年度で期限を迎える沖縄振興計画について、県と政府の今後の協議が注視される。玉城デニー知事に展望などを聞いた。

 Q:名護市辺野古の新基地建設問題で、政府との「対話」をどう求めていくか。
 A:「知事就任以来、司法ではなく対話による解決を求めている。その姿勢は変わらない。対話の糸口を作り、協議を始めて対案も出て来るというのが私の考えだ。信頼関係の場を作り、忌憚(きたん)のない意見交換をし、出てきた案について了解し、ある面で妥協もあれば、それでいけるかどうかもお互いで考えないといけない。日米両政府に県を加えた(協議の枠)『SACWO(サコワ)』で、SACO合意を検証する場を設けてほしいと求めたい」

 Q:SACO合意が負担軽減になっているか、県が調査をする考えはあるか。
 A:「北部訓練場の過半の返還条件はヘリパッドの新設で、高江集落を取り囲むように設置されたヘリパッドの使用で騒音被害が増えている状況があるのは事実だ。返還後の騒音や、さまざまな基地運用の状況を把握する上で、調査を検討してもいいと思う」

 Q:地球温暖化対策実行計画への思いは。
 A:「世界的に避けて通れない重要な課題だ。菅首相も2050年の『脱炭素社会実現』を掲げた。『沖縄らしいSDGs』でしっかり取り組んでいく。人口規模の小さな島から、再生可能エネルギーを100%にしていく取り組みは、十分実現可能だと思う」

 Q:21年も新型コロナ対策が最重要課題となる。ワクチン接種の見通しは。
 A:「接種は国の指導の下、都道府県が支援して市町村が実施する。全国一律の実施で、県も早急にワクチン接種に向けた体制を構築していきたい。国と連携して開始できる環境を整えるよう支援したい」

 Q:22年に向けて、新たな沖縄振興計画策定の作業が大詰めを迎える。
 A:「年明け、新振計のために政府と協議を進める用意をしている。重要性や緊急性が増した課題、労働生産性の向上や子どもの貧困、雇用の質の改善など、次の振計でどのような制度を要求し、実現させていくか真摯(しんし)に話し合いを持ちたい。自立型経済の構築は道半ば。新型コロナの打撃を受けた経済を立て直し、高度な医療体制を確立しつつ、教育、福祉、県民生活の向上を真摯に議論していく」

(聞き手 座波幸代)