全国高校サッカー初戦突破の那覇西 大逆転の裏側は 


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠
後半2分、同点弾となるPKを決める那覇西の照屋圭人=2020年12月31日、千葉市のフクダ電子アリーナ

 サッカーの第99回全国高校選手権で、2年ぶり17度目の出場となった県代表の那覇西は31日、千葉県のフクダ電子アリーナでノースアジア大明桜(秋田)と1回戦を戦い、取り合いの末4-3で逆転勝利した。立ち上がりから攻守がかみ合わず2失点したが、徐々にリズムをつかんだ。前半終了間際と後半開始直後にゴールして同点に追いついた。再び失点するが、試合終盤に2得点を挙げた。逆転劇の裏にはどういう闘いがあったのか。(古川峻)

 40分ハーフの1回戦。試合終了まぢか、後半39分のコーナーキック。DF山川樹主将が「自分に出してくれ」と、キッカーのMF上地悠智にサインを出した。これまでの多用したニアサイドではなく、ファーサイドへのキックを要求。回りこんでゴール近くで受けた山川が直接右足でシュート。「仲間が相手を引きつけてくれて、自分一人の点数じゃない」。チームでつかんだ勝ち越し点だった。

 今季は県外の試合がコロナで激減し、慣れない全国は立ち上がりから動きが硬かった。不用意なパスミスやクリアミスから前半20分に1点、6分後に2点目を奪われた。「苦しい部分はあったけど、ここからという気持ちで楽しみながらやろう」(山川主将)。失点でふっきれたように硬さが抜け、那覇西の反撃が始まった。

 前半36分、DF金城巧樹がペナルティーエリアの右隅から左足でシュート。ボールはGKの左側を抜けて1点目を挙げた。後半開始直後にはPKを獲得。MF照屋圭人が「得意なのですぐに自分が蹴ろうと思ったし、緊張感が楽しかった」と、ゴール右側のネットにボールを突き刺した。

 後半は左サイドで細かくワンタッチでつないだかと思えば、すぐに右サイドに転換する。持ち味のパスサッカーが機能し、流れをつかんでいた。ところが、後半22分にカウンターから一瞬の隙を突かれ、再び離された。

 それでもチームは意気消沈しない。「この一戦に勝つために1年間やってきた。どんなに失点されようが、しっかり1点取りに行って、絶対に勝つ」(山川主将)
 後半35分にコーナーキックのこぼれ球をFW岸本大和が回収し、再び右サイドからセンタリング。FW石川元尋が頭で合わせたボールはバウンドしてGKの頭上を越え、3-3にした。勢いのまま終了間際に山川が勝ち越し点を決めた。

 寒暖差に慣れるため27日に千葉入りし、アップの時間を通常より15分ほど長くして身体を芯から温めた。試合前から話していたように半袖半ズボンで挑んだ山川主将は「最後まで一生懸命、諦めずにボールを追いかけた結果だ。初戦を勝てたのは大きい」と喜んだ。

 2回戦は1月2日午後0時5分から、同アリーナで市立船橋(千葉)と戦う。

1回戦突破を決めて歓喜に沸く那覇西の応援スタンド=2020年12月31日、千葉市のフクダ電子アリーナ