社民の立民合流 県連各支部の大半残留か 県内政局へ影響も


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立憲民主党への合流を巡り社民党県連としての対応などについて説明する照屋大河委員長(左)と仲村未央書記長=2020年11月28日、那覇市の県連事務所

 県内の革新政党の中で、知事選など各種選挙の候補者擁立を主導してきた社民党県連が、2月14日の県連大会をもって分裂することが決まった。玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力はこれまで、全県選挙で「辺野古反対」の世論を背景に保守の一部を取り込んだ強みを発揮してきたが、社民党は国政野党第1党である立憲民主党との合流を巡り、揺らいでいる。社民党県連の現執行部は県連大会で解散するが、それ以降の体制は白紙の状態だ。

 現在、県連11支部のうち、立民への合流を決めているのは浦添支部だけで、宜野湾や西原、那覇北、北部の4支部は社民残留を決めている。残る6支部はまだ態度を明らかにしていないが、複数の社民関係者によると、残留を選ぶ支部が11支部のうち大勢を占める見込みで、9日の支部代表者会議で全支部の意向が明らかになる。

 執行部は各支部がどの選択肢を選んでも尊重する方針だ。今後の見通しについて関係者の一人は「いまだ意見が割れている支部もあるが、そういった支部は支部としては残留を選び、合流を希望する党員のみ社民を離れることになるのではないか」と推測した。

 立民合流を巡る議論は元々、19年12月に立民の枝野幸男代表が、社民党本部(全国連合)に両党の合流を打診したことを契機に始まった。社民県連は1年以上かけて議論を重ねた結果、昨年10月の執行委員会で政権交代に向けて合流やむなしとなり、「賛成」することを賛成多数で決めた。

 しかし、その後の党大会では激論の末、合流、残留双方を容認する議案が可決された。それを受け、県連内の考えにも変化が生まれた。県連幹部の一人は「合流に賛成していた支部の多くは、党全体が合流することを前提に議論していた。双方認めるとなれば事情は変わる」と明かした。

 全国的には低迷が続く社民だが、県内での支持は根強い。直近の国政選挙である19年7月参院選での主要政党の比例得票数(県内)を見ると、自民党が最多の13万5271票で、社民党は2位の10万404票を獲得し、全国での党存続に貢献した。

 ただ、13年に引退した山内徳信氏以降、県内から比例議席を獲得できておらず、支持率は伸び悩んでいる。そのため県連関係者からは「若い世代の将来を考えると、立民に合流して大きな塊になる必要がある」との声も出ている。

 社民党分裂後の県内政局はどのようになるか。県内で大きな存在を担ってきた政党が分裂することで、21年の県内政局も波乱含みとなっている。(吉田健一)