ヘリ発着場の工費105億円 当初計画の17.5倍、66%が警備費 米軍北部訓練場


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ゲートの前に立つ警備員=2019年7月1日、東村高江

 米軍北部訓練場の部分(約4000ヘクタール)返還に伴うヘリコプター発着場(ヘリパッド)の移設について、事業費は約105億円に上ったことが4日までに分かった。当初計画の約6億円から17.5倍に膨らんでいる。事業費のうち66%に当たる約69億円が警備費だった。返還跡地の汚染や物件を取り除く支障除去に向けた契約は約5億円を予定している。

 各契約額は沖縄防衛局が本紙に答えた。発着場建設の事業は2013年3月~17年10月で、関連する契約は6件。16年12月の返還後に始まった支障除去に関する契約は21年3月までの予定だ。

 日米両政府は日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、北部訓練場の過半を返還する代わりに新しくヘリ発着場を造ることを定めた。高江集落を囲むように6カ所造る計画で、県内では反発が大きかった。政府は抗議行動を避け自衛隊の輸送ヘリや民間の特殊ヘリで工事用の重機を搬入するなど異例の対応を取った。

 同局は建設費の増大について「工事に反対する人々が国の所有地である進入路などで車両駐車やテント設置など妨害行為をした。安全で円滑に工事をするため、警備や資機材の運搬などに関する経費が増大した」と述べた。反対を受けた理由には触れず、抗議行動のみに責任を転嫁した形だ。

 工事強行の結果、新たな発着場が米軍に提供されて以降、周辺で80デシベル(パチンコ店内に相当)以上の騒音が測定される回数が最大5.4倍になった。