米軍機の低空飛行、地位協定には「訓練」の規定なし 住民不安も防衛省は米軍に追認


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渡嘉敷島周辺を低空飛行する大型機=6日午後2時ごろ

 慶良間諸島周辺での米軍機の低空飛行は、日米地位協定5条を根拠にしているとみられるが、文面上は米軍施設・区域の「出入り」や「移動」を認めているのみで、「訓練」の文言はない。防衛省は安全面の配慮を払い、地元への影響を最小限にとどめるよう米側に申し入れたとしながら、「飛行自体が何らかの規制に抵触するものではない」と追認した。 (明真南斗、知念征尚)

 琉球大の山本章子准教授(国際政治史)は「地位協定に訓練に関する規定はなく、全て移動という名目で訓練している。米軍がどこを飛んでも規制できない」と指摘している。

 県には7日、防衛局を通じて米軍の説明が入った。先月末に座間味村で目撃された米軍機も同じ特殊作戦群のMC130Jだという。この日、県基地対策課には宮里哲座間味村長が現れた。本人が実際に目撃した低空飛行の様子を伝え、県から関係機関に働き掛けるよう求めた。県は低空飛行の停止など関係機関への要請を検討している。

 県は米軍の説明は不十分だと考え、防衛局を通じて飛行目的など詳しい情報を要求している。本紙の聞き取りでは数年以上前から住民の目撃情報がある。特殊作戦群によると、MC130Jは、敵陣や敵が支配する区域に入り込み、部隊や装備を輸送するという。

 山本准教授は「低空で旋回する飛び方からすると、有事に備えて上陸地点や飛行経路を確認しているのではないか。島の住民が感じた不愉快さは妥当だ」と語った。また、中国に対する示威行動の可能性もあるとみている。

 近年、宮古海峡周辺では中国艦船が示威活動を展開し、日米が共同訓練で対抗してきた。「米軍が台湾有事を想定して沖縄本島から宮古海峡に飛んでいくような訓練をしている可能性もある」と分析した。