【政党ジェンダー調査】多様性明文化は全党賛成、性的少数者参画は?


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 政治分野におけるジェンダー・ギャップに関する政党アンケートでは、県内6政党全てが女性議員を増やすことに賛成し、党内の女性比率の現状について「適切ではない」と考える政党が多数を占めた。各党は女性議員を取り巻く環境の厳しさを認識しつつ、議員増に向けた手段として「クオータ制の導入」や「議員活動と育児などの両立支援」を挙げた。「多様性」を法律や条例に明記することの賛否については、全政党が賛成と回答した。


多様性明文化 全党賛成、議論進む

 社会における「多様性」を法律や条例で明記することについて、党派に関係なく全ての政党が「賛成」と回答した。多様性を巡っては、宜野湾市議会が昨年、市が提案した「市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案を主要与党会派の反対多数で否決したことで、県内でも「多様性」を巡る議論が活発となっている。一方、県は早ければ2020年度内に「性の多様性宣言(仮称)」を出す方針だ。性的マイノリティーの人たちが差別や偏見に苦しむ現状を踏まえ、命の大切さや多様性を容認する寛容性が宣言の土台となる見通し。

 賛成の理由について、社民党は「『多様性』は一人の人権を受け止めるものだ。その理念や実践を条例によって市民に約束することは自治体における大事な取り組みである」と主張した。共産党は「多様性を認め合うことは個々人の意識改革も自覚的に必要である。政治や法の責任として制度面での改革は絶対不可欠である」と回答した。

 社大党は「本来は明記せずとも個人の尊重などを定めた憲法13条などを順守すれば良い」としつつ、「現実はそうなっていないので国や自治体の姿勢を明確にするためにも法律や条例が必要だ」と指摘した。

 公明党は「マイノリティーの人権を守ることは憲法に合致し、守るべき点」とした。一方、自民党は「基本的には多様性など尊重されるべきだと考える」と賛意を示しつつ、宜野湾市議会の動きについては「市議会の意向も尊重されるべきだ」と主張した。


性的少数者参画 自民、賛否言及せず

 性的少数者の政治参画について、自民を除く5党が賛成した。自民は「ジェンダーの概念は尊重されるべきことと考える」との回答にとどめ、賛否への言及は避けた。

 賛成の党は「政治分野に多様な人材が参画することは少数者の声を政策に反映する機会を作り、広げていく」(社民)、「違いを認め合う社会は全ての人にとって生きやすい社会だ」(立民)、「多様な意見が政策となって論じられる議会は、誰もが住みやすい社会作りになる」(公明)などと理解を示した。

 共産は政治分野でのジェンダー平等関連法の制定に向け、「議会での性の多様性を目指すことは非常に重要だ」と主張した。

 社大は性的少数者の政治参画は重要としつつ、「現在、党において明確な方針がないため、今後議論し策定していきたい」と答えた。