【政党ジェンダー調査】女性候補育てる機能を 三浦まり上智大教授


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 政治分野におけるジェンダー・ギャップに関する政党アンケートでは、県内6政党全てが女性議員を増やすことに賛成し、党内の女性比率の現状について「適切ではない」と考える政党が多数を占めた。各党は女性議員を取り巻く環境の厳しさを認識しつつ、議員増に向けた手段として「クオータ制の導入」や「議員活動と育児などの両立支援」を挙げた。「多様性」を法律や条例に明記することの賛否については、全政党が賛成と回答した。


三浦まり氏

 女性議員を増やすための具体策はどの政党も弱い。なぜ女性が少ないのか現状を分析し、どうしたら増やせるのかを考えて対策を打つことが重要だ。

 自民党だけがクオータ制に反対なのは象徴的だ。数値目標がないと、具体的な対策は伴わない。候補者男女均等法が女性議員の比率50%を目指す中、自民党の望ましい女性議員の比率は30%と低い。クオータ制なしに女性議員を増やすのはかなり難しく、30%でさえ達成できるのかということになる。

 女性議員を増やすには政党からの支援が必要だ。女性自身も政治は男性のものという意識が強かったり、家族の支援が得られなかったりする。金銭やノウハウの支援もある。積極的に女性を擁立するというメッセージを出すことも重要だ。県連幹部など見えるところに女性がいると、女性の擁立を支援しているという強いメッセージになる。

 日頃からネットワークを作り、女性が政党とつながることも重要だ。男性候補者は業界団体や地元町内会など、既存の緊密なネットワークから候補者が出てくるが、女性のネットワークは政党とはつながっていない。政党の女性局は候補者を見つけて育てるという機能に変化させることも必要だ。

 女性議員を増やすための必要な支援策に、議員生活と育児などの両立支援を挙げた政党が多かった。自治体によっては自宅住所を議会のホームページに掲載することがある。だが、女性やシングルマザーではストーキング被害も起きている。通称使用を認めるほか、自宅住所の公開を制限すること、視察に子どもの同伴を認めること、議会で託児所や授乳スペースの確保など支援が必要だ。ハラスメント対策として、議会で研修を行うことや倫理綱領を採択して相談窓口を設けることも必要だ。

 当事者だけが我慢すればいいとなってしまうと、制度が変わらない。全体的な取り組みとして考え、ジェンダーに配慮した取り組みの在り方を具体的に検討する必要性がある。

(政治学)