舞への熱意あふれ 島袋本流紫の会が定期公演 会主、家元そろい踏みで披露


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「作田」を踊る前里博美新会主=国立劇場おきなわ

 島袋本流紫の会(島袋秀乃三代目家元)の第21回定期公演「伝統の系譜」がこのほど、浦添市の国立劇場おきなわであった。昼の部は島袋光晴宗家作舞の「与那国恋歌」や教師、師範による独舞など15題を演じた。夜の部は「古典七踊りを観る 家元・会主の揃踏み 緩歩の美」と題して、新会主の神里美代子と前里博美のお披露目も兼ねて公演した。夜の部を取材した。 (藤村謙吾)

 公演の舞踊指導・構成を務めた漢那七子の「かぎやで風」で幕を開けた。続く神里会主は「本貫花」を踊った。歌われている爽やかな恋心に合う柔らかな表情を見せ、ゆったりと優美に舞った。

 具志なおみ会主の「柳」は、中踊りの「エイヤ」の部分など、下半身で調子を取る動きにもぶれがなく、均整の取れた表情と踊りで最後まで観客を魅了した。前里会主は「作田」を踊った。最初はうちわを持つ手に震えと表情に緊張もあったが、新会主としての強い決意を感じさせ、引き付けられた。両新会主に共通して、「早作田節」の歌詞にある「雪の真米」のように、踊りの奥に純粋な舞踊への熱意が見て取れた。

 秀乃三代目家元は「伊野波節」を踊った。出羽での目眉のあたりに、思い人への強い情念をほとばしらせるような表情は、中踊、入羽と歌の世界に引き込んだ。

 最後は会主と家元計7人による「あしび馬踊り」で華やかに幕を下ろした。

 ほか「天川」を花城江美子会主、「かせかけ」を池城智子会主、「諸屯」を比嘉睦江会主が踊った。