玉城沖縄知事 コロナ感染者、1週間で500~800人と推計 緊急事態宣言の要請には言及せず


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臨時会見で、緊急事態宣言で拡大された対象地域との往来自粛を呼び掛ける玉城デニー沖縄県知事=14日、沖縄県庁

 沖縄県の玉城デニー知事は14日、臨時記者会見を開き、新型コロナウイルスの県内の状況について今後1週間の新たな感染者数は500人から800人に上るとの推計を公表した。国の緊急事態宣言の対象地域拡大で、先の4都県に加え追加された7府県との不要不急の往来自粛も求めた。緊急事態宣言の対象に沖縄県を含めるよう求めるかどうかについては「感染経路や現場の医療体制、感染拡大状況などを把握した上で総合的に判断したい」と述べるにとどめた。

 県内の状況について、若者を中心に拡大しており、年末年始に親族が集まって感染したり県外から移入したりした例が多くなっていると分析した。今後、県内では感染が急速に拡大し、入院患者数が夏の流行時を上回る可能性があるとして「このまま沖縄県の感染拡大に歯止めがかからなければ、県としてもより強い措置や制限を選択せざるを得ない状況となる」と強い危機感を示した。

 玉城知事によると、(1)検査機関から陽性者と診断されながら入院や療養を拒んだ事例のほか、(2)保健所から濃厚接触者と認定されながらも外出した事例、(3)体調が悪いにもかかわらず旅行や会合に参加した事例、(4)時短要請に応じない店を転々とはしごして感染が連鎖した事例―などがあり、感染防止に協力しない事例が散見されているという。玉城知事は「皆さんの考え方、行動にすべてがかかっているといっても過言ではない」と訴え、若い世代や事業者に感染拡大防止への協力を呼び掛けた。

 会見の冒頭、県の専門家会議の委員も務める県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は「沖縄は大きな流行への入り口にある。特に若い人たちがいかに感染を広げないために協力いただけるか、問われている局面だ」と強い危機感を示した。

 高山医師は、感染が急速に拡大した昨年7月下旬から8月初めの流行状況と似ていると説明した。冬は元々患者が多く、一般診療や救急もいっぱいになりかけている状況だとして、夏のような流行規模になった場合、「地域医療はもちこたえられない。医療崩壊も見えてきている」と懸念を示した。その上で「躊躇なく強力なハンマーを打つべき状況ではないか。ここを逃してはいけない。先延ばししても失うばかりだ。力を合わせてこの難局を乗り切っていけたらと思う」と呼び掛けた。