沖縄県内観光「壊滅的影響」 緊急宣言から1週間 休業するホテルも


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 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が8日に首都圏の1都3県に再発令されて、1週間が経過した。緊急事態宣言の対象は11都府県に広がり、政府の観光支援事業「Go To トラベル」も年末以来の停止が続いている影響で、県内ホテル事業者から「壊滅的だ」と悲痛な声が上がる。県ホテル旅館生活衛生同業組合によると、那覇市内で客室稼働率が20%を切るホテルも相次いでいる。一時的な休業を選択するホテルも出るなど、影響は観光業界全体に急速に広がっている。 

 2月1日から始まるプロ野球の春季キャンプも、観覧者数の制限など感染対策に伴う大幅な規制が見込まれ、例年のような積極的な観光誘客も難しくなっている。玉城デニー知事は14日の記者会見で、緊急事態宣言対象地域からの「ファンは往来自粛の対象になる」との見解を示した。

 この見解に対し、県ホテル協会の平良朝敬会長は「全国のファンに沖縄に来るなと発信しているのと同じだ。宿泊事業者に『死になさい』と言っているのか」と憤る。

 協会加盟の事業者の中には一時的に閉館しているホテルもある。平良会長が運営するかりゆしグループも3カ所のホテルの閉館を決めた。

 平良会長は「医療現場の逼迫(ひっぱく)は理解している。ただ、県は観光の現場がどのような状況に置かれているのか現場を見ていない。(ホテルを)閉めた痛みや苦悩を考えるならば、軽はずみな言葉は発するべきではない」と語った。

 ある那覇市内のホテルは、1月の客室稼働率が40%を超える見込みだったが、Go To停止期間の延長が発表されてから約600室の予約キャンセルが発生した。1月の稼働率は14%まで落ち込み、県民の利用が多いランチバイキングの予約も鈍っている。

 ホテルの総支配人は「年末年始から1月にかけて損失額が億を超えた。2月で緊急事態宣言が解除され、Go Toが再開されることがほんの少しの望みだ」と肩を落とした。

 修学旅行やスポーツチームの合宿など、コロナの影響で振り替えとなった団体客の受け入れが1~3月に集中していたホテルも多く、キャンセル1件あたりのダメージが大きい。

 恩納村のリゾートホテルも1月の稼働率は12%に落ち込む。1月だけで18校の修学旅行を受け入れる予定だったが、全てキャンセルとなった。2棟あるうち1棟は休館し、経費節減をしながら経営を続けるが、ホテルの総支配人は「主要都市の動きが全部止められると、いくら地方が動いてもだめだ」と悲鳴を上げた。