長濱陸「忍耐の1年」超え初防衛戦 日本1位・豊嶋と ウエルター級東洋太平洋


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東洋太平洋ウェルター級王座決定戦 クドゥラ金子(左)に右ストレートを決める長濱陸=2020年2月、東京・後楽園ホール(C)Naoki Fukuda

 昨年2月、プロボクシングの東洋太平洋(OPBF)ウエルター級王者を初戴冠した長濱陸(29)=那覇高―沖縄国際大出、角海老宝石ジム=が16日、東京・後楽園ホールで王座防衛戦に挑む。新型コロナウイルスの影響で2020年は試合が組めず、世界王者も見据える長濱にとっては「忍耐の1年だった」。日本ランキング1位の豊嶋亮太=帝拳=との初防衛戦は、好カードも相まって「ここで勝てば日本タイトル挑戦も見えてくる」と気を吐き、いざ防衛戦に臨む。戦績は15戦12勝(4KO)2敗1分け。

 初のタイトル挑戦は17年、日本スーパー・ウエルター級だった。王者に果敢に挑んだものの、8回TKO負けを喫し涙をのんだ。

 「本気でボクシングをやっている選手と戦った時、初めて自分の精神面の弱さを感じた」。あの敗戦が長濱の“プロ”意識を変えた。2年かけて己と向き合い、「メンタルが強い選手とは何か」と問い続けた。

 階級を一つ下げて挑んだ20年のOPBFウエルター級王座決定戦。自身2度目のタイトル挑戦となった相手はOPBF7位の長濱に対し、同2位で無敗を誇る格上だった。しかし周到に準備した二の矢、三の矢で相手の得意技を徹底的に封じロープ際に追い込んでいった。

 両者とも譲らぬ壮絶な打ち合いの末3―0の判定勝ち。王座を手にした長濱の顔は終了後、赤く腫れ上がり死闘を物語っていた。「自分の実力を日本のボクシングファンに認めてもらえた一戦だった」と激闘を振り返る。

 あれから1年。満を持しての防衛戦だ。相手は勝負強さを兼ね備え一筋縄ではいかないが、防衛成功となれば、日本王者への挑戦に世界ランキング上位への食い込みも見えてくる。それだけに「絶対に勝たなければいけない試合。全力を出し切って、リングで暴れ回りたい」と力強い。

 緻密な戦略で臨む長濱に慢心はない。「相手の裏をかいてさまざまなカードを切っていく」。21年、さらなる進化を遂げた長濱がリングに上がる。
 (上江洲真梨子)