ハンド日本「歴史的な試合」強豪クロアチアに29-29、ギリギリで追いつかれ 東江が多彩な攻め


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 ハンドボール男子の世界選手権は15日、エジプトのアレクサンドリアなどで行われ、1次リーグC組の日本は初戦で前回大会6位の強豪クロアチアと29―29で引き分けた。惜しくも金星は逃したが、主将の土井(大崎電気)は「われわれにとっては歴史的な試合になったと思う」と実感を込めた。2年前は1勝もできず最下位に沈んだ日本が、成長した姿を見せた。立ち上がりから速攻などで果敢に攻め、GK岩下(トヨタ紡織九州)も好セーブを連発。前半を17―14で折り返した。課題の後半も相手の圧力に屈することなく善戦。試合終了まで残り10秒を切ってから7メートルスローで追い付かれたが、貴重な勝ち点1を手にした。シグルドソン監督は「勝つチャンスはあったが、現実的に考えて素晴らしいパフォーマンスだった。間違いなく、将来につながる」とたたえた。17日午後11時30分(日本時間)開始予定のカタール戦に向け、司令塔の東江雄斗(興南高―早大出、大同特殊鋼)は「この引き分けを無駄にしないように、何としてでも勝ち点を取りたい」と力を込めた。4チームずつ争う各組の上位3チームが2次リーグに進む。


司令塔東江 多彩な攻撃

クロアチア戦で競り合う東江=アレクサンドリア(IHF提供・ロイター=共同)

 試合開始2分すぎ、日本の初得点となる7メートルスローを冷静にゴール左下へ突き刺したセンターバックの東江雄斗がほえた。「前半は本当に思い通りのプレーができた」。日本の司令塔が波に乗った。

 左右の華麗なステップで相手の守備網を縫うようにして突破。隙を突いたサイドのロングシュートで得点を奪う。課題に挙げていたポストとの連係でも、ノールックパスを通して得点を演出。「積極的に1対1で得点し、自分にマークが厚くなった時はアシストができた」とチームに勢いをもたらす。日本が強豪国に3点リードして前半を折り返す原動力となった。

 後半は得点こそなかったが、速攻の起点となり、前線へ次々とパスを供給。同点の残り1分の場面では、中央で相手守備を引き付けることで得点をうまくアシストし、土壇場で一時は勝ち越した。

 最後の最後で追い付かれたが、「歴史的」と主将の土井が振り返った試合で、両チームを通じて最も活躍した選手としてプレーヤー・オブ・ザ・マッチの栄誉も手にした。試合終了後に名前が呼ばれると、笑顔で写真撮影に応じた。一方で、後半のプレーについては「もう少し攻撃のテンポを変えられたら良かった」と冷静に改善点も見詰めた。

プレーヤー・オブ・ザ・マッチのボードを手にする東江雄斗(前列右から2人目)ら日本代表メンバー=15日、エジプト・アレクサンドリア(Yukihito Taguchi/JHA提供)

 次は、自身が大会MVPに選ばれた昨年のアジア選手権で後半に逆転負けを喫したカタール戦だ。「リベンジに燃えている。きょうの悔しさをぶつけ、なんとしても勝ち点を取りたい」と次戦もチームを先頭で引っ張るつもりだ。