「児童発達支援」対象は18歳未満 障がい者の学び途切れる 法律に穴、関係者ら指摘


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学習支援教室で学ぶ仲村伊織さん(家族提供)

 障がいのある子どもは児童福祉法に基づく「児童発達支援」を受けられるが、同法は原則18歳未満を対象としており、学校に通っていない子どもは18歳になった月を最後に学びの支援が受けられなくなる。18歳といえば、高校や大学、専門学校などで教育を受けている年齢だ。障がいのある子を持つ家族や支援者は「障がいのある子は、18歳以降は学んではいけないということか」と、法律の穴を指摘する。

 児童発達支援は、日常生活の基本的な動作に関する指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などを提供する、子ども向けの事業。自治体が事業主体となり、障がいのある子どもの特性に応じて事業所がサービスを提供する。

 知的障がいのある仲村伊織さん=北中城村=は1月に18歳になり、4度目の高校受験を目前に児童発達支援が途切れた。仲村さんは同事業を利用して三つの事業所に通い、高校入試の過去問題を解いたり、同年代の集団で生活したりして、入試に備えていた。

 学校に通っていれば、特例で20歳まで延長できる放課後等デイサービスがあるが、仲村さんの場合は高校に入学していないため対象外。今年の入試で合格できたとしても、18歳を越えているため同サービスは受けられない。

 仲村さんの両親は県や村と事前に協議を重ね、2月以降は類似の事業「生活訓練等支援事業」を活用することになった。同事業は大人向けの地域生活支援事業のうち、各自治体が任意で実施する事業で、村にとっては初の試みだ。ただ、同事業では事業所に支払われる報酬単価が8割程度に下がる。事業所は3月までは今まで通りの内容で支援を継続する予定だが、4月以降は未定だ。

 仲村さんが通う事業所を運営するNPO法人「TANOSHI―KU」の知念忠昭理事長は「単価を落とすと、支援の質を維持するのが難しい。今は行政だけが決定権を持っているが、事業所も家族も行政も、役割は違えど同じ支援者として一緒に考えたい」と話した。